700字文体シャッフル: HPB!
テーマ: 酒
予想期間: 6月28日 ~ 6月30日
レギュレーション: ①700文字以内 ②今まで世に出していない ③1作まで
Q and A
Q.文体シャッフルって?
A.みんなで匿名で文書いて、それを誰が書いたか当てる企画です!だから何書いたかいうなよ!
Q.過去作は?
A.下記リンクから文体シャッフルハブに飛べます!
Q.構文は?
A.by ukwhatn。偉大なる御大に感謝。
主催 - meshiochislash does not match any existing user name
原案者 - meshiochislash does not match any existing user name
aisurakuto
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著者ページ
aster_shion
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著作
BARIGANEsensha
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著者ページ
eagle-yuki
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著者ページ
EianSakashiba
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著者ページ
GermanesOno
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著者ページ
Hoojiro_san
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著者ページ
Jiraku_Mogana
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著者ページ
KABOOM1103
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著者ページ
konumatakiki does not match any existing user name
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著者ページ
Kuronohanahana
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著者ページ
meshiochislash does not match any existing user name
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著者ページ
MtKani_666
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著者ページ
Nanigashi Sato
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著者ページ
R_IIV does not match any existing user name
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著者ページ
Ruka_Naruse
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著者ページ
SCPopepape
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著者ページ
stengan774
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著者ページ
teruteru_5
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著者ページ
WagnasCousin
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著者ページ
watazakana
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著者ページ
投票締め切り: 6月30日24時まで
以下のグーグルフォームに必要事項を記入の上投稿してください
https://forms.gle/Uo8NctXKzP48Hzm77
- No.1
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- No.11
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- No.28
- No.29
- No.30
- No.31
- No.32
- No.33
- No.34
- No.35
- No.36
この作品の作者は GermanesOnoさんでした!
予想結果: germanesono×3, g-ananas, roneatosu
黒いマルチが敷かれたハウス、腰を屈めて黙々と傷んだイチゴを摘む。農学部の農業実習は、腰をやらかす。脊髄を這い上がる鈍痛が、先輩連中の言葉を思い出させた。
「我々の代謝物に人は魅せられてきた、何も麹黴の専売特許では無いだろうに」
「そもそも果実酒の開祖が腐敗というのなら、無論こちらに部があるというものだ」
隣畝を担当していた及川が投げ捨てた摘果は、びっしりと灰黒の菌叢で覆われている。普段から見慣れた麹と口論し蠢く、粒々の目立つ菌どもに慣れた口調で名前を尋ねた。何より発酵について高説を垂れる見知った面子とは、余りにもかけ離れている。
「Botrytisボトリティス cinereaシネラエ、甘味は君らも好むと聞いた」
ホモサピと呼び捨てにしないとは、随分と礼儀正しい菌である。醸造場の貴賓にして重要な作物病害、先週の植物病理学の授業で老教授が講義していた内容が口から滑り出た。灰色かび病、日本植物病理学会は、この菌の所為をこう呼んでいる。
「いかにも、有象無象の黴どもと聞き分けの無い米麹たちにも宜しく言ってくれ」
「あと、ゴスロリ姿の御友人にも。我々は君らの旅路を応援している」
髪や衣服に付着したアスペルギルスの菌体一つ一つからも歓声が上がる。貴腐ワインだけに、と心の奥底を擽る洒落に苦笑するしかないのだった。
この作品の作者は rokurouruさんでした!
予想結果: rokurouru×3, enho-osho×2, eiansakashiba, R_IIV
ベランダに置き忘れていた盃に、蛾の亡骸が浮かんでいた。
随分と生意気な奴だった。一人酒を飲み明かす夕暮に、皮肉と共に空を漂ってくる様な図太さがあった。どこから発してるのかわからない奴の言葉は、しかし俺の退屈を紛らわせるのには適した。
「つまる所君が呑んでいる物は毒だと言うのかい」
「蛾如きに本質を見透かされるのは非常に腹立つがそうなるな」
黒漆の翅、紅々とした斑点、滑らかな触覚。奴は何処までも黒き蝶を模していたが、唯一つ毒を持たなかった。苦しくも麗しい牙は、奴の翅には無い。所詮は偽物だ。全く陳腐な物である。奴は己をそう嘲った。
とどのつまりの最後には、やはり毒を纏って散りたいのです。
奴の話の〆はいつもそんな言葉だった。
だから俺が奴に盃を差し出した時、そこには確かに温い何かの輪郭があったのだと思う。その日も奴は「随分と安い墓標だな」とか相も変らぬ減らず口を叩き、その様はいつも通りに夕景を黒く染めている物だから。俺はからかう様に「何故そこまでして毒を求める。蝶を求める。どうせ鳥には喰われないんだ」と唇を尖らせてやって。その返答は、やけに随分と短くて。
「洒落ているだろう?」
奴は泣いていたのかもしれない。
骸が彩る盃を片手で掬う。
目を閉じ、黒蛾の盃を一口含む。すぐさま顰め面で吐き出した。漆の鱗粉に濁る香りは、とても飲めた物じゃない。味が舌から去るまで立ち尽くして、漸く少しの感傷を噛み潰して。同じ轍でも踏んでやるかと溜息と共に言葉を一つ。
「洒落臭ぇんだよ、本当に」
全く陳腐な物である。
この作品の作者は eagle-yukiさんでした!
予想結果: eagle-yuki×2, eiansakashiba, hoojiro-san, 1nar1
初めて飲む酒は決めていた。100円少しのパック酒。ヴァージンをこんな安酒に捧げるなんて、という抵抗感はあったがこれもロックだ。それに何より、あの人に近づくにはこれが一番な筈だから。
少し、独特な香りの液体を吸い上げてみた。呆けた甘味とツンとした辛味が味蕾を襲い、酒という物が私にはまだ合わない事を教えてくれる。彼女はいつもこんなのを飲んでいたんだ。喉奥の熱さを嚥下して、私はある女性の顔を思い浮かべた。
私の恩人、奇才的ベーシスト。今でこそ私は、メジャーバンドのギタリストなんて大層な肩書を背負えている。が、彼女がいなければ、私はデビューまでバンドを続けることすら無理だっただろう。そんな彼女と、最近は会う機会が減ってしまっている。
単に、お互い忙しくなっただけ。私たちは人気メジャーバンドという立ち位置へ着々と足を進められている。彼女のバンドはインディーズで狂信的人気を集め続け、自主レーベル立ち上げの噂が出ている程。光の中へ向かう私たち。混沌の中心に立つ彼女たち。距離が空くのも当然だ。
でも「音楽」なんて広い世界、一度逸れてしまえば二度と会えなくなる事もある。光を恐れ、閉じていた私の目を開かせてくれた人と、離れてしまう。このままじゃ嫌だ。だから、彼女との接点を少しでも増やしたくて。飲んで。想って。高まる感情は奔流になってアルコールと共に体を巡ってそして
「ヴォエェッ!」
口から決壊した。
──最悪な気分だ。でも、妙に頭がスッキリする。とりあえず、お姉さんにちゃんとお酒の飲み方教えてもらった方がいいな。別に、連絡先は知ってるんだから。
次に会う約束を取り付けるメッセの文面を考えながら、私は眠りについた。
この作品の作者は aster_shionさんでした!
予想結果: kuronohanahana, scpopepape, g-ananas, northpole, teruteru_5, dr-knotty
「重い」
「──おう」
わずかに開いた唇。その喉元から発された音は、耳に届くより早く、重力に従ってこの背の骨に深く響く。
返事から、十数秒。声の主がこの耽溺から抜け出す気配はない。自分がそうしているように、君もそうであればいいのにという我儘がただの願望である、ということにも気づけないほど、君と同じようにここに在ったのならとも思う。
しかしそれがひかれ合うように確かに実在するこの質量を、失わせてしまうだろうということも想像に難くない。
「おう、じゃなくて」
君の呼吸がひとつ、ふたつ、みっつ。数えて一度、まるで深い眠りについたかのように長く吐かれた息を確かめてから、声をかける。
君の身体には響かない、それでもその鼓膜をかすかにふるわせた僕の言葉に対する返答は、うん、とただそれだけの相槌で。
「無賃乗車はやめてほしいなー」
後方から吹く風が、うーと呻きだけを運んでくる。
「なんか、面白い話して。酔い覚まし」
答えはない。風も止み、街灯の光も遥か後方、裏路地に入る曲がり角をぼんやりと照らすのみだ。
「つまんない話するよ。──暇だし」
背負った籠がどんどん重くなるのは、何の話だったっけ──と今の状況を俯瞰しようとしてみつつ、少しずつ話し始めてみる。当事者がどちらもいない気がしてくると、普段言えなかったこともすらすらと出てくるもので。
「──誕生日、4月。だから、本当はもう飲める。君と同じくらいに酔いやすいから、惜しくて」
全部言ってしまうと案外すっきりするみたいだ。そう思いつつ、寝顔でも拝んでやるかと振り向こうとして──。
「面白かった。酔いも覚めた。一つ指摘するなら、俺よりお前のほうが少しばかり酔いやすいみたいだな」
──酒、飲んでおけばよかった。
この作品の作者は BARIGANEsenshaさんでした!
予想結果: bariganesensha, gokipo, teruteru_5×3
俺は入社式の日、自らにとあるルールを課した。
「平日の前夜にはアルコールを一切飲まない!その代わり、休みの日には好きなだけ飲む!」
立派な社会人として遅刻をしないため、体調を整えるための戒めだ。俺は新生活を前にしてやる気に満ち満ちていた。
「ははは、無知って罪だな」
手元の大吟醸と一緒に嘲り笑う。そんなものはつまるところ、世の中を知らない大学生坊やのイマジネーションでしかなかったわけだ。
立派な社会人とは斯くも心身をすり減らすものか。満員電車で寝床と地獄を往復する日々を送っていた俺は、在りし日の固い決意を捨て去った。それがいつのことだったかなんて、とてもじゃないが覚えちゃいない。人はこうやって誘惑に負けていくんだなって。つくづく、それが麻薬や性犯罪じゃなくてよかったよ。
さて、明日は朝から挨拶回りだし、そろそろ寝るか。手土産代だけ立て替えないといけないな……。
そのためにふと財布を確認したのだが、はて、中身はこんなに寒かっただろうか?落とした……、盗まれた?いや、いくらなんでも現金だけ盗るスリなんて存在しないだろう。しかしそうなると無意識のうちに自分で使ったってことに……。何に……。あ。
自分の右手が答えを握っていた。というか、部屋中に答えの残骸が置かれていた。社会人とは実に大変な生き物である。たとえ己の懐を犠牲にしてだって、心身を健康に保って気丈に振る舞わねばならないのだから。
「転職……かぁ」
まだ見ぬ、そもそも心身をすり減らす必要のない会社を探す旅が始まる。行動に移すだけの気力が残っていれば。
この作品の作者は WagnasCousinさんでした!
予想結果: wagnascousin×3, jiraku-mogana, aaa9879, nununu
「かんぱーい!」
「一日おつかれっしたー!」
アルコールが喉の奥へと勢いよく流し込まれていく。毎日毎日飽きもせず良く飲むものだ。しかもその後始末は全部俺任せだ。
「おいおい全然アルコールが進んでないじゃんどうしたのよー」
周りの奴らはやたらと俺に絡んでくる。こう言う時は無視に限る。
「君がもっと飲んでくれないと気持ち良く酔えないんだよー」
そんなの知るか。
「ちょっと見てよこの体、カッチカチだよ」
カチカチに硬くなった体をツンツンされた。そりゃお前らが休んでる間働いてるからな。
「ねえねえ返事してよー」
今日はやたらとしつこい。
「ねえってばー」
我慢の限界だった。
『うるさい!』
「肝臓くんが喋った⁉︎」
『喋っちゃ駄目なのかよ』
「いや肝臓くんが意思表示してくれただけでも嬉しいよ」
「俺たち肝臓くんがいないとアルコール分解出来ないしさ、仲良く呑めたら嬉しいんだよね」
反発覚悟だったが、予想外に暖かい反応が返ってきた。周りの臓器達は俺を馬鹿にしているものだと思い込んでいたが、違っていたのかもしれない。
『ど、どういたしまして、よろしく……』
歓声が上がった。
「よし、仲良くなった記念に一発芸出来る人挙手!」
「はい皮膚です黄色くなりまーす」
「やべえ肌の色めっちゃ綺麗じゃん」
「腹腔です水溜めます」
「すげえ腹水で妊娠したみたいじゃん」
「膵臓です膵臓石作ります」
「膵臓くんも喋った⁉︎」
その日、俺は飲み会で初めて大声で騒いだ。朝まで浴びるように飲んだが、ひどい二日酔いを除けば不思議と爽快な気分だった。そう、俺たちのアルコールライフはまだ始まったばかりなのだから。
この作品の作者は Kuronohanahanaさんでした!
予想結果: eagle-yuki, wagnascousin, kuronohanahana×3, ruka_naruse
年上の友人は、時々僕の前でお酒を飲む。未成年の僕を家に泊めといて、「ちょっと飲ませて」なんて言って缶ビールを開ける。未成年を預かる側として大丈夫なのかとか思うけど、僕は別に構わないからそのままにしておく。
「ねぇ、お酒っておいしい?」
「んー、物によるな。美味しい酒と、酔うための酒って別だからさ。缶ビールは酔う為って感じ」
「ふぅん」
僕の質問に答えながら、友人はぐびっと一口飲む。喉仏が上下する様子を眺めていると、彼は僕を見て笑った。
「いひひ、憧れちゃったか?」
「いや、別に」
「未成年は飲んじゃだめだぞぉ。オトナのトクベツだからな」
「はいはい」
適当に返事をしながら、また一口飲む様子を見る。少し赤くなった頬で幸せそうに笑う姿はとても楽しそうだ。
「大人になったら一緒に飲もうな」
「気が向いたらね」
「その言い方だと飲まねーやつじゃんか!」
大声で笑う彼を見つめていたら、ふと目が合った。そのままじっと見てくる彼に首を傾げると、その顔がゆっくりと近づいてくる。あぁ、キスされるのかなってぼんやり考えていたら、唇ではなく頬に触れた柔らかい感触。
「……なんで」
「オレ酒飲んでるもん」
「このクソ真面目が……」
呆れてため息をつくと、不意に脇腹に触れられる。彼の手はそのままするりとシャツの中に入ってきた。
「ちょっ……と」
「オトナのトクベツ、する?」
「……真面目か不真面目どっちかにしろよ」
「どっちがいいの?」
耳元で囁かれる声は低くて甘い。
「……不真面目」
重ねられた唇はほろ苦かった。
この作品の作者は watazakanaさんでした!
予想結果: germanesono, enho-osho, stengan774, kaboom1103×2, R_IIV
酒、酒が要る。
男は酒を求めていた。しかし、男自身が酒に依存している、というわけではない。ことの発端は、この男がうっかり自動人形の燃料槽に酒を入れてしまったことである。酔った勢いではない。男は酒に溺れるようなロクデナシではなかったが、その実、整理整頓を怠るロクデナシだったのだ。
「どれがどれだったかなァ……嗚呼、そうだ。この白い甕に栓をしているのが油か酒。酒臭えのが酒だ」
鼻詰まりの中、この調子で自動人形の世話をしていたのだから、雑な人間である。一応酒でも自動人形は動くようだ。便利なものである。
燃料を間違えたことと、酒を求めること。この二つを結びつけるのは噂話だ。うっかり酒を入れられた自動人形は、化学反応というもので、酒しか受け付けなくなってしまう、と言うより、僅かでも酒の残った燃料槽に燃料を淹れ直すと連鎖的に反応を起こし、過熱ののち爆発する、という噂を、男は聞いたことがあるのだ。
相棒を爆発させるわけにもいかず、かと言って元に戻すには業者と大金が必要と来たものだから、「動くなら酒でいいや」と、燃料を酒で賄うことにしたのだ。男は近場の酒屋で酒を買い込み、酒の入った重たい箱を抱えてよちよちと帰った。
さて、帰り着いた男は、疲れたままに玄関で寝てしまった。生真面目な自動人形はこれを見て、主人を寝床へ連れて行き、酒を白い甕に移し替えた。男は数刻経って目を覚まし、燃料を所望する自動人形のため白い甕へと向かった。
「おっと、そういえばこいつの燃料は酒になったんだ。立派な酒呑みにはこいつをくれてやろう」
逆になったら全部逆。記憶や思考の整理整頓すら雑な男は、前とは逆の甕から掬った液体を燃料槽に注いだ。
この作品の作者は SCPopepapeさんでした!
予想結果: scpopepape×3, ruka_naruse, dr_kudo, aisurakuto, dr-knotty
「面白いものを見せてやろう。」
かのエージェントが安葡萄酒を飲み干すと、薄黄色だった虹彩がみるみるうちに深い赤紫に変じた。昔に異常に暴露して、それきりだと言う。摂取した液体の色を写し取るその瞳を、彼は誇ってもいなければ恥じてもいなかった。
唾を飲むたびに透明になるわけではないらしい。「実感の問題だと思ってるよ、俺は。」と。取り込むことを特に意識しているかどうか。そう語りながら彼はただ笑って、グラスを傾けた。その時なんとなしに妙な気を起こした僕は、彼に口づけたのだ。
微かに息を呑んだ彼の瞳孔が開く。ゆっくり観察できなかった先程とは違い、彩の変化がよく見えた。紫を潜ませる深緋が次第に薄れていき、どこかに濁りを湛えたような透明へ。
僕らの始まりは、そんな感じの唾液の交換だった。
僕が触れるとき、彼の瞳はいつだって例の紫檀色に染まっていた。それを水よりもすこし重いような透明に変えてみたり白く濁らせたりするのは、どうにも欲を刺激した。人間の体液にある色彩の少なさがどこか恨めしく思えた。
ある日、彼は身体を四散させて帰ってきた。まともに残ったパーツは髪一束に指数本。それと眼球。見せられた写真越し、真紅の虹彩がこちらを見ていた。
かなしみの奥、漠然とした妬心があった。理由の掴めない苛立ちから、彼がよく飲んでいた安物のボルドーワインを棚から取り出して蓋を捻る。流し込めば、頭の隅がひどく痛んだ。
酔った勢いに身を任せ、掌をナイフで深く切る。酒精を孕んだ血液が染め上げるべきものはもはやなく、ただ卓上を汚すだけだ。
そして涙が一滴、赤の上に滲んだ。今度の赤と透明は、彼の瞳の中のように上手くは混ざらなかった。
この作品の作者は G-ananasさんでした!
予想結果: bariganesensha, g-ananas, gokipo, kaboom1103, kata_men×2
一点リードの九回裏、ツーアウト。カウントはツーツー。ランナーは一塁と三塁。
観客は満員御礼、外野席、内野席、バックネット席、全ての人間がマウンドに立っている自分を見ている。
汗が止まらなかった。
抑えとは難儀な仕事だ。
勝ちパターンの中継ぎとして優秀な結果を残した選手が、抑えになった途端に調子を崩すことなどよくある話だ。
中継ぎと抑えの一番の違いは、味方の攻撃回があるか否かである。中継ぎは失敗して逆転されても味方のバットで試合をひっくり返す可能性がある。そうなれば応援するファンはとりあえず溜飲を下げてくれる。
抑えにそれはない。自分の後ろには誰もいない。いてはならない。抑えがマウンドに立った時点で、この試合は終わらないといけないのだから。
「気合い入れろよっ」
左翼の客席から怒号が聞こえた気がするが、左翼以外の客が歌うチャンステーマにかき消されてしまった。
捕手のサインは内角低めのストレートを要求した。
マウンドの男は首を横に振り、拒否する。
外に逃げるスライダー。
首を横に振る。
外角のスプリット。
横に振る。
捕手は遂に諦めたのか、フォークを要求した。
それを見た男は強く縦に振った。
おおぉぉおおおおおおっ
投球態勢へ移った投手を見て、観客のボルテージは最高潮に達した。
そして投手から離れた球は、鋭く落ちることなくストライクゾーンの中心へと──
木の鈍い音がした後に、白球はスタンドの看板へと当たった。
打者は飛び上がって喜び、一塁側の選手たちはグラウンドに雪崩れ込む。
件の投手は球が当たった看板から目を逸らすことができなかった。「やっぱり生が一番」の文字。
今日はビールを飲もう、そう思った。
この作品の作者は NorthPole さんでした!
予想結果: aster_shion, nanigashi-sato×2, dr_kudo, aisurakuto
そう特別な酒じゃない。
それは決して嘘ではなかったのだと思う。けれど、それが最後の一杯になると気付いてボトルを傾けるのをやめた彼女がたった一杯分の赤ワインを大事にしまい込むのを目にした時、ワインセラーに並ぶボトルの中にはどれも一杯分しか中身がないと知った時、僕はそれだけが真実ではないと気付かされた。
異常が疑われつつも明確な証拠が確認されず、機械的に弾き出せなかった職員たち。この職員寮に集められた彼らが監視されている事実を彼ら自身が知る事はない。それは寮の管理者たる僕を含め、このサイトでは5人ほどしか知らない事だ。だから3年もの間使われ続けた彼女の部屋がついに主を失った時にそれを悼んだのは僕だけだったし、同じ名前の別人が入寮者名簿に名を連ねた時、その部屋に住まわせるのを見咎める者もいなかった。
引っ越し祝いと称してかつてのままで押し付けた部屋の、一杯分のボトルが並んだワインセラーは日を追うごとに空に近づき続けている。彼女が封じた栓を破り、たった一杯でベロベロになった君に追い出される度、僕はこれで良いのだと思う。
この財団で彼女の面影を探す君は、その安っぽいベッドの上でいつか彼女が寝たのだと気づくかもしれない。それとも君は気づく事なく、ただ彼女が整えたその場所に安らぎを求めるだけかもしれない。いずれにしてもその部屋は君を温かく迎え入れるだろうし、彼女もそれを願うはずだ。けれどいつか、君が望み通りに知るべきでない事を知った時、君は自分にそれを許せなくなるだろう。
だから願って酒を注ぐ。せめてその棚が空になるまでは、酒精の見せる色鮮やかな夢の中で穏やかに眠っていてほしいと。
この作品の作者は MtKani_666さんでした!
予想結果: kuronohanahana, teteito, stengan774×3, roneatosu, konumatakiki
もし酒を飲むなら。私はなにをえらぶ?
憧れるのはワイン。バレンシアとかの、リキュールも良い。翡翠色がきれいな、世界一周も憧れだ。
ラムの芳香も好き。コーラルという奴、色も美しいからね。しかしお財布問題、バーへは行けない。ならばコンビニだ。ストロング系とか、缶チューハイとか。体験せず語るのは、些か野暮だと思う。悪いものとはいえ。上から目線の老害。それだけは勘弁だ、まだ死にたくない。酩酊と退廃の悪癖。生来のものだろう。しかし一人暮らし、賢く暮らさないと。とは思っているが、カスっぽい生活は。悲しいことだが、簡単に終わらない。今日も終日読書だ、レイモンドの小説。ロンググッドバイ。こよなく愛してる。すべきことを捨て。低きに流れるのは、快楽にも似ている。しかし人生は刹那、快も不快も詰めた。狂乱のうん十年だ。しばらく生き汚く、終わりは呆気なく。楽しいのが一番で。苦しみはほどほど。終わる時に笑って、安らかに逝けたら。それほど良いこと、他にはないだろう。憧れてしまうのだ。ぴんぴんころりに。
さて種明かしをば。じつはこの文章は、ちょっとした遊び。文字数を利用した、楽しいクイズさ。企画の本来の趣旨、文体当てとは別だ。暇なら遊んでくれ。本当に暇であれば。
答えは解答の後で。他の作品も楽しみ、優雅な文体企画を!
この作品の作者は tateitoさんでした!
予想結果: g-ananas, northpole×2, tateito, gokipo, kaboom1103
グラスに注がれたほんのり黄色く透けた液体はスパークリング日本酒、澪みお。病的に甘く、程よく酸味があり、マスカットと米麹の香りがたまらない。おおよそ日本酒らしくはない日本酒で和食と合わせるには全然向いていないが、デザートとして楽しむには素晴らしい。奇妙な味のジュースと言えばそうである。
日本酒は米が原料だ。それが何故、澪のように果実や花の香りを纏うものとなるのか。それは酵母による醗酵の妙であり、そうした把握しきれない怪しさも酒の一つの魅力だろう。
ブラジルナッツをつまみに澪を飲む。塩が振られたナッツと無闇に甘い澪の対比。そして考える。
私は酒が飲みたいのか?
いや、私は酒を飲んでいる。飲みたいから飲んでいる。だがそういう話ではない。私は、人類が常に嗜好してきたように、アルコール摂取したいからしてるのか?
酔いたいならば、澪を買ってきたローソンでも売ってるストロングゼロの類や、ワンカップ大関や鬼ころしなんかを飲んだ方が効率がいい。大して旨いという印象もない酒だが、アル中およびアル中予備軍には良いものだろう。
しかし私は酔っぱらったことがない。バカスカ飲んだところで多少眠くなるのが関の山で、酩酊感だとか、気持ち良くなるとか気分が明るくなるとかそういう効用の実感は芥子粒たりとも存在しない。
香りや味がいいから飲むのか?もっと香りや味の良い非アルコール飲料もあるのでは?酒という文化に浸りたいのか?それこそ酩酊の実感を得られなければ入り込めないのでは?
澪を飲む。旨い。旨いが、これあってるのか?
この作品の作者は Jiraku_Moganaさんでした!
予想結果: wagnascousin, mtkani_666, teteito, jiraku-mogana×3
「最近はイベント多いよな…ショトコンも終わって1週間くらいだろ…?今じゃXコンだのオバロだの」
「まあ何もないよりええやね」
「いやタツ兄…ショトコン終わってからもう3週は経つわよ…?」
「なに!?じゃあ次は4000-JPコンか!?」
「それは気が早すぎエージェント速水よ!」
「おじさんは流行に乗るのが大変なんだぜ…?酩酊街もさ…昔は優しさって感じだったのに最近はビターなのがあるしな…」
「酩酊街を地獄扱いしたSCP-1922-JPも5年前よ♥」
「記憶処理剤レズキス薬でも盛られたか…?」
「でも方向性が増えるのはええことちゃうんか?」
「それはそうだが…一度優しくないのを知っちゃうと他も素直な目で見られなくなるだろ?」
「つまり…一度侵入を許した砦は頼りないっちゅうわけやね?」
「コンプラ社会性ルールに配慮した発言できて偉いわ」
「森田ちゃんだって解釈違いくらいあるでしょ♥」
「そりゃあるで。10万つぎ込んだマッチングアプリやけどデートが全く成立してくれへんから解釈違いで解約したんや!」
「「「…………」」」
「ワイの恋愛も酩酊街に行って忘れられてしもたんかな…?」
「停滞と言う意味ではそうかもしれないわね」
この作品の作者は Ruka_Naruseさんでした!
予想結果: ruka_naruse×3, aaa9879, meshiochislash×2
その酒焼けした喉じゃ何歌っても響かないんですよ」
ポトリ。その唐突な一言にギタリストの男は咥えたばかりのウィンストンを取り零した。
「僕は音楽の事なんも知りませんし、先輩が薦めてくる洋楽も半分以上理解出来ないですけど。今の先輩は本当につまらないです」
男は物怖じせず言い切る後輩を前にして、その姿が4年前の今頃に出会った時よりずっと凛々しく、実直になった事に今更気付いた。あの頃の内気で、男の奏でるギターに子供のように目を輝かせていた後輩はもう居なかった。
「大学中退して、自殺し損ねて、取ってつけたように酒と煙草吸って。別にそれを陳腐だとかとやかく言う気は無いですし、長らくフリーターだった僕に言う権利もないですけど。そんなこと差し引いても、先輩の音楽は面白くないです」
「別に、理解されたくて歌ってる訳じゃない」
深夜2時の商店街で、猫背のギタリストは紫煙に視線を落としながら吐き捨てる。
「理解したいんじゃあないんです」
「じゃあなんだ、死ねってのか」
「先輩はとっくに死体なんですよ!」
声を荒らげる。彼は何度も聞いてきて、いい加減飽き飽きしていた男の言葉に遂に我慢が効かなくなっていた。
「僕は!先輩のすげーいい曲が聴きたいだけなんです!こんな場所で死んだ顔して漠然とギター鳴らしてる先輩がみたい訳じゃないんです……お願いですよ、先輩。僕にまた、先輩の音楽を聴かせて下さい」
「……俺の喉じゃもう歌えない、お前もさっきそう言ってたろ」
「なら僕が歌います、先輩のギターで」
「……正気か?」
黙って一つ、悠然と頷く。男は、そこでようやく彼に袋小路に追い込まれていた事に気付いた。
どうやらもう、死なせてはくれないらしい。
この作品の作者は Nanigashi Satoさんでした!
予想結果: eagle-yuki, mtkani_666×2, aisurakuto, k-cal×2, dr-knotty
未成年である私に飲酒の経験はないが、酔うとはこんな感じなのだろう。前も後ろも覚束なくて、後ろ暗いことは全部どこかへ押しやられていって、どうしようもなく浸っていたくなる。
耳馴染みのない呼び声に振り返れば転校生の姿があった。バスケ部の男子にこそ劣るが女子の中では一際目立つ高身長を見間違う筈もない。聞けば担任に校舎を委員長に案内して貰うよう言われたらしい。ならば私に拒む理由はなく、これをきっかけに彼女はよく私に話しかけるようになった。ただ、それも少しの話。とびきりの美人で、愛想が良くて、空気も読める。そんな彼女が馴染むのはあっという間で、私は独りで過ごす毎日に戻った。彼女は他の新たな友人たちと同様の密な関係を私にも望んだが、私は尤もらしい理由を付けて距離を作った。
ある日、部員が全て卒業した部の部長に就任した彼女が私に声をかけた。私がいわゆる帰宅部だと覚えていたらしいが、人気者のサークルごっこに付き合う暇はない。勉学と生徒会に専念したいから名前を貸すだけならと入部届を受け取った。彼女があの時どんな顔で私を視ていたのか、私は知らない。
結局、幽霊でない新入部員を彼女が得ることはなかった。別の高校に進んだ彼女との関係は無いも同然になっていって、彼女の本気を無下にしたのだと知ったのは数年が経ってから。その卒業公演とやらの誘いをいつものように断らなかったのは、本当に最後だと悟ったからだった。私は都内の有名大学に合格していたが、彼女は国外に留学するというのだ。
そうして観たものに、私は酔った。知らない声、知らない仕草、知らない表情。知らない、別人な彼女。私は未成年で、まだ何も知らなかった。
この作品の作者は Dr_Kudoさんでした!
予想結果: watazakana×2, ruka_naruse, aaa9879, kskhorn, R_IIV
彼女は酒が好きだった。月命日に、僕の部屋には一本のワインが現れる。
最初は怖かったけど、妙に見覚えのあるボトルで……気が付けば僕はそれを口にしていた。盃を重ね曖昧になる意識と真逆に、普段は眠っている感覚が呼び起される。今日も僕は、あぐらでグラスを空けていく。つまみは要らない。何かを濁らせる気がするから。
段々と目の前に像が結ばれ、悲しそうな顔をした彼女がちゃぶ台越しに立っている。
︙
「やめて……もう飲まないで」
繰り返し泣き声で訴える彼女。僕はもう一杯だけ、と自分に言い聞かせて、紫の液体を喉に押し込んでいく。頭がくらくらするけど、彼女の姿も、泣き声も、懐かしい気配もはっきりするから。本気で泣き出した彼女の傍は、甘い香りさえする。顔を拭うと手ごたえがした。幻覚かもしれない。視界は揺れている。けれど涙は冷水そのものの刺激を、僕の鈍り切った神経に伝えてくる。
紛れるように、背後からはカリカリと何かをひっかく音。ドアの外、爪を立てるかのように。
「あれが来てる。だから飲んじゃダメ」
︙
ボトルに見覚えがあったのは、彼女が最後に飲んでいた酒だから。普段絶対にワインは飲まない子だったのに。恐怖に歪んだ顔でワインボトルを抱きしめて絶命していた。
「大丈夫、これで最後」
名残と共にグラスを干すと、彼女が小さく息をのむ。振り返るとドアが大きく開いていた。背後で彼女だったものが笑う。
「あーあ、飲みすぎちゃったね」
どうかな、と僕は手の中に隠し持っていた銀のナイフを確かめる。感覚が鈍い。もしかしたら本当に飲み過ぎたか。でも、だからきっと刃は届くだろう。
この作品の作者は Enho_Oshoさんでした!
予想結果: bariganesensha×2, g-ananas, enho-osho×2
徳利の注ぎ口を使うなとは誰が言い出したのか。
注ぎ口は円が途切れる場所であるからして「円の切れ目」は「縁の切れ目」らしい。
そんなもんで切れる縁なら端から無くて構わない。
他にもビール瓶のラベルを上にして注げだとか、お猪口を両手で持てだとか、注いでもらったら直ぐに一口飲めだとか。
酒のマナーとは、一杯ウン千円ウン万円の高級な品を余すことなく楽しむための作法であって、ウン百円の酒の分際で相手にマナーを押し付けるのはただの傲慢だ。
安酒を楽しむなとそう言っているわけではない。
安酒には安酒の楽しみ方がある。
コンビニでよく売っているカップ酒は、つゆだくでちんちんのおでんと一緒に買うのが”マナー”だ。
溢れんばかりの液体を、おでんを食べながらゆっくりと飲む。
三分の一程度の嵩になったらそこに、丁度良い温度になったおでんの出汁をいっぱい注ぐ。
出汁割りの完成である。
これはコンビニでおでんが販売されている期間にしか手軽にできない”マナー”である。
つまり酒のマナーは、自分が美味しく酒を飲むための自己満で済まされるべき作法であり、誰かに強要したりされるようなものではない。
だから今、隣で「目上の人のお酌は受けんとかんぞ」と安い日本酒を持ちながらほざく上司を、黙らせる術が欲しい。
この作品の作者は aisurakutoさんでした!
予想結果: aster_shion, dr_kudo, aisurakuto, k-cal×2, teruteru_5, kaboom1103
酒場にトランプが置かれているのはなぜか?
トランプが酒の原料になるからだ。
「また負けたぁっ! もう酔っちゃって頭回んない!」
丸テーブルの向かいに座るジェシカが叫ぶ。
「まぁ、ルールはルールだから」
俺はグラスに水を注ぎ、ジェシカへと滑らせた。
「マジでさ……これで何杯目ぇ?」
グラスを受け取って、ジェシカは残りの手札を水に突っ込ませた。
4、10、J、K。トランプは水に溶け、赤か黒の色素に分解される。色は混ざり、ワインのような赤紫へと液体を変化させた。ツン、と強いアルコールの匂いが鼻を刺す。Kが入っているからだろう。
「貧民万歳!」
グラスを掲げ、ジェシカは一気に中身を喉へ流し込んだ。
「っていうかロビン、飲んでるはずなのに全然酔ってないじゃん! なんで!?」
ジェシカを無視し、俺は黙って山札をシャッフルする。手札を他の仲間にも配ると、もう一度ゲームは始まる。
俺が酔ってないのには理由がある。あえて弱い札だけを残しているのだ。それなら負けても酒は強くならない。
一つ懸念していることはあるが、まず実行されまい。それをやった奴に利益がない。
気づけば、残りは俺とジェシカだけ。
そこでジェシカは、カードを四枚叩きつけた。
「死ね!」
スペードの連番四枚。
革命。
だが、このタイミングでやる意味が分からない。
「なんで今なんだよ!? もっと早く出せば確実に勝てただろ!?」
「お前だけ酔ってないのムカつくんだよ!」
酒臭い息を吐いて、ジェシカはさっさとあがった。
酔っ払いが。俺はため息を吐いて、グラスにカードを投げ入れる。
「貧民万歳!」
3、4、6。革命のせいで度数が上がった酒を、俺はあおる。
トランプの酒は、古いインクのような風味がした。
この作品の作者は AAA9879さんでした!
予想結果: germanesono, rokurouru, aster_shion, k-cal, gokipo, kaboom1103
名前もつかない安酒をあおる。とうてい酔えないこれは地下墳墓の探索のお供に相応しい。石造りの暗い通路をひとり歩く。ときたま同業者か化け物の物音が彼方から聞こえてくる。骸骨はカチャカチャ、ミイラはベチャベチャ。レイス……救い難き魂の怪物からは、何も聞こえない。寒気だけが接近を知らせてくれる。だから安酒で暖まり感覚を研ぎ澄まさなければならない。
通路の最後に行き当たり、腐った木の扉を静かに開ける。軋む音が響くが、化け物どもの気配 は無い。慎重に扉の向こうに行く。
長椅子が並び、奥に壊れた像がある教会であった。何のために地下に教会が作られたのか、知る由もない。躊躇なく祭壇で金目の物を漁っていると、裏から悲鳴が聞こえた。見ると、怯えた様子の若い男がうずくまっていた。怪物に怯えきった初心者だろう。俺はため息を吐き、背嚢から安酒とは違う液体が入ったビンを取り出して差し出す。
「聖なる酒だ。レイスはこれを飲んだ人間を襲わない。飲んでみろ」
彼は戸惑ったが、一気に飲み干した。頬が赤く染まる。何かを言おうと立ちあがろうとしたがふらついている。俺は素早く彼を抱えて、冷たい石造りの床に寝かせる。彼の口は礼を言いたそうに動いていた。
しかし、彼は今飲ませた毒のせいで力が入らない。俺はナイフを取り出して足の腱を切った。悲鳴が上げる。
「風邪で調子悪いから、帰り道の囮になってくれよ」
寒気を手足に感じ始める。間抜けな彼の荷物も奪い取って、すばやく立ち去る。あの悲鳴だと前回の少女より良い囮になるだろう。
墳墓の入り口まで帰り着くまで、背筋が凍るような悲鳴が続いていた。どうか、哀れな魂に神の救いがあらんことを……。
この作品の作者は Nununuさんでした!
予想結果: watazakana, nununu×4
「成人式の時に飲み会しよう」なんて、かつて友人たちと話したものだ。というか、当然するものだと思っていた。
二十歳になって初めて飲んだ酒は、とても飲めたものではなかった。
コップに口を付けただけで鼻を襲う消毒液の臭い。
舌を浸けてすぐに感じる強い苦味。
ビールは苦い、と聞いてワインを選んだにも関わらず一口含んだだけで耐えかねて、コップいっぱいのバイト代を排水口に捨てることになった。小さいボトルに残ったぶんは翌日友人の胃に消えた。
ひょっとすると本当に良い高い酒なら違うのかも知れないが、一人暮らし大学生には飲み切れるかも分からぬ酒に割ける金は多くない。
先輩や同期が当たり前に飲んでいるのを見るに、どうやら私の舌は特別ガキらしい。
別に、酒を飲むのが特別楽しみだった訳でもないし、先輩達も「飲まずに済むならそれでいい」と言っていたから飲めないことが不満でもなんでもなかったが、ただ、友人たちと久々に会って食事する場に水を差さないかという心配だけが頭の隅に生まれていた。
私の心配をよそに年は明け、成人式の式典後に中学時代の四人組のうち三人(あと一人は引っ越してうちの市の成人式に出られなかった)で夕飯を食べることにした。
駅前の雑居ビルにある焼肉屋の席につき、メニューを手に取った私は二人に尋ねた。
「飲み物どうする?私はジュースにするけど。」
二人は少々考えるような素振りを見せた。少しの空白があって、
「僕は明日1限あるんだわ。」
と、理学部に進学した一人が言うと、
「俺、明日仕事。」
と、就職したもう一人も言った。
結局その日は三人で焼肉を囲んで、誰も酒は飲まずに終わった。
この作品の作者は stengan774さんでした!
予想結果: stengan774, roneatosu, eiansakashiba×2, hoojiro-san×3
生き馬の目を抜く天地無法の逆転都市、O/Oアウターオーサカには公的な祝日が無い。名ばかりの市議会では議員の半分が居眠りし残りの半分は閉会までに永眠している有様なので、市民はヤクザだろうと殺し屋だろうとめいめい好き勝手に理由を付けては臨時休業を決行する。
そういうわけで、この違法酒場スピークイージーでは不定期開催の「ムカつくアイツがくたばった記念日」で祝杯をあげる客が後を絶たない。今日の客はコロンビアン・グリーンをショットで一杯……いや駆けつけ三杯。悪い現実にすこぶる有効な悪魔印の薬用酒は、間違いなく彼の松果体に華麗な霊的蹴飛ばしアストラル・シュウトのハットトリックをキメた。おかげで向こう三週間は魂が口から抜け出ないよう気を付けなければならないだろう。
「マスタァ…もう一杯」
言葉と共に緑煙をまとう蝶が吐き出されたかと思うと、電灯に惹かれてあっという間に焼け焦がれグラスの中に落ちた。市俄会イチガカイの悪名高き"帰ってくる鉄砲玉"もこうなっては形無しだ。人間であれば顔に当たる黒いもやを少し揺らめかせ、私はボトルの残りを全部注いでやった。支払いは十分足りるはずだ。無防備に放り出された彼の外法短刀マジック・ドスをツケのカタとして質に流せばだが。
朝のやってこないこの街で、ふたりっきりの祝宴は気の済むまで続く。
この作品の作者は k-calさんでした!
予想結果: scpopepape, ruka_naruse, k-cal×2, kskhorn, dr-knotty
「18年を買ったから」
彼女の誕生日、あるいは俺たちが終わった日。もはや中学来の知人でしかない男へ彼女は冷淡に理由を告げ、扉を閉じた。
薄暗い家に帰り、内定通知書の横へ、突き返された贈り物を転がす。深い紺と荒波の青で彩られた化粧箱を裂いて、溶けた琥珀の詰まった瓶を取り出した。彼女のために奮発した、18年物のスコッチ。それを厚い安グラスに注いで、口へ流し込む。角の取れた柔らかな香りと、蜂蜜のような深い甘味。上品な味わいに、頭が冷えていくのを感じる。
彼女の言葉の意味が分かった気がした。脳裏に蘇るのは、二人で初めて飲んだ同じ醸造所の10年物。塩味を感じる程のスパイシーさに、荒削りの甘味。決して上品じゃないが、理想を求めた味だった。それが今は、価値基準をリカマンの値札に外注する上品な凡百に成り下がっちまったと。
「青臭く理想を追い求める、本当のあなたに戻りなさいよ」
彼女の幻影が10年の瓶を俺の前に差し出す。本当の俺、か。確かにあの頃は輝いていた──
首を振り、グラスを干して、机に叩きつける。
「クソ甘ぇ! 本当の俺なんてねえよ!」
吐き出した言葉が過去の影を撃ち抜く。そうだ。本質主義なんて置いていけ。棚から煙った緑色の瓶を取り上げ、栓を抜き、直接口へ運ぶ。アイリッシュの癖して馬鹿みたいに打ち鳴らすピート香。18年に頼ったのは確かに不甲斐なかった。だけど、もう俺はあの10年には戻らない。
鼻から深く息を吸い込む。棚に並んだ空き瓶たちから立ち上る香りが、霧散した影が、ごちゃ混ぜになって肺を満たす。
「だけど、ありがとな。楽しかったよ」
喉が焼け、脳が覚醒する。過去の香りを纏って、俺は、新しい俺になり続ける。
この作品の作者は roneatosuさんでした!
予想結果: wagnascousin, northpole, mtkani_666, nununu, roneatosu, konumatakiki×2
酒は水面みなもなのだという。上辺や権威を水浸しにし、本性を写し出す摩訶不思議な大海原の液体。
別にそんなこと信じているわけではなかったが、今目の前で展開されている物事はそんな言葉の綾に奇妙な信憑性を与えていた。
「私のこと、本気で好きか?」
「嫌いな訳ないでしょ」
「本当に好きかどうかは聞いてない。本気で好きかって聞いてる」
彼女のギザついた歯の辺りから酒が滴りシーツに落ちた。青い刺青が彫られた彼女の左腕が私の腰をなぞる。今夜は彼女らしい繊細さが無く、力んでいて少し痛かった。
言い回しの話に基づくなら上物のモヒートが彼女を変えたのだ。私も彼女も孤高の者として売っている身だ。ファンが見たら卒倒してしまいそうな光景をこれ以上続けるのも癪だった。
「好き。分かったら離して」
予想に反して彼女はすぐにベッドから離れた。無理な姿勢から解放されて、やっと楽に息を吸うことができる。目を瞑って腰の凝りを揉んでいると、彼女が戻ってくる気配が近づいてきた。
叩き付けられるような衝撃を頭が整理する前に、あっまずい、という野性的な感覚が入り込んできた。口の中に流れ込んでくるミントの風味は信じられない程冷たく、彼女に胸を掴まれる温度と真逆のアンバランスさに襲われ、激しくむせた。剥がれるのと同時にアルコールが脳を溶かし始める。
最後の外面が消え去る瞬間、スケベなシャチが震えるサメを喰らうのが見えた。
この作品の作者は EianSakashibaさんでした!
予想結果: eagle-yuki, scpopepape, eiansakashiba×4
酒とたばこと女遊びを知らないヤツに本物のロックは演奏できないらしい。私だって未成年飲酒の1つでもやってみたかったが、両親が泣くのでノンアルで我慢している。
「これがギターヒーローの妹…はは、すっげえ…」
「スカウトしてよかった!あのギターヒーローの妹さんって最初知らなかったの!」
言われたら確かに~っぽい。~テイスト。~風味。アルコールもプリン体も入っていない、誰かの模倣犯で褒められる。
「次のCDジャケの絵、AI製なんだけど良くね?」
「ウチもTik特化の軽く聞ける曲が欲しいのよね~」
成人したてのメンバー曰く、本物よりノンアルの方が良いらしい。クセのある味は若者にウケないとか。
「ふたり久しぶり。バンド入ったって聞いてお姉ちゃんびっくりしちゃった」
「そっちこそすっかり天下のギターヒーローだね、ツアー調子良いみたい」
「ふへ…あっふたり、ノンアルコール飲むんだ?」
机に仲良く並んだビールジョッキとノンアルカクテル。店のテレビはお笑い番組を流していた。
「あ~っと…こ、このモノマネ芸人面白いね!本物より面白いかも!はは…」
「なんで?」
「へ?」
「本物偽物ってラベルが貼られるのになんで皆は偽物を選ぶの?」
そこで自分が言った言葉に気付き、その言葉で1つの気付きを得た。
「ふ、ふたり…?」
「ごめん、帰るね。お金ここに置いておくから」
店を出る。そうだ、酒たばこ女遊びなんて古臭い老害の考えだ!現代は量産と消費が重視されて本物要らずなんだ!本物の中身なんてどうでもいいから偽物だって勝てるんだ!だから私が本物に偽物のまま勝つんだ!待っててね、ギターヒーロー!
高揚して道端の缶を蹴る。表面に「ALL ZERO」と書かれていた。
この作品の作者は Hoojiro_sanさんでした!
予想結果: watazakana, nanigashi-sato, hoojiro-san×3, meshiochislash, dr-knotty×2
生温い春風が車窓からブワっと吹き込む。開けるんじゃなかった、そんな後悔を振り払おうとボタンに手を伸ば生温い春風が車窓からブワっと吹き込む。開けるんじゃなかった、そんな後悔を振り払おうとボタンに手を伸ばす。再生。上司を連れての辛気臭いドライブも好きなバンドマンの音色があれば随分マシだ。
闇の中で藻搔いて、光を浴びずに潰えた救世主達が今どこで眠っているか。『Need to know』が徹底した人類の基礎foundationでそれを知る人間がいるとすれば、それは次に起きうる終焉の生贄だろう。つまり私達。
墓石は何も語らず、ただ其処に在る。口すら付けられないビール缶もまた。飲酒運転禁止は私から桜並木での一献という権利を奪い、嘗ての友に乾杯を捧げた上司という存在を運ぶ責務を生み出す。世界終焉で延期されなかったバンドマンの新CDの情熱に包まれた車体で、ただいつか暗闇で啜るであろうビールが脳裏を押しつぶす。
『その刹那を越えて、君の命は輝くんだ』。柄にも無く口遊んだ歌詞が、今動き続ける鼓動と連動する気がした。
この作品の作者は Gokipoさんでした!
予想結果: aster_shion, teteito×2, enho-osho, stengan774, gokipo, kskhorn
日本民俗音楽収集シリーズ Vol.1: 飲みコール
万太郎さんの評価 ★★★☆☆ 3.0 ♡0 ↪︎0
6分43秒の間、とにかく飲み会のコールを流し続ける狂気のアルバム。
監修者は日本の童歌にテトラコルド音階が見られるのと同じく、飲みのコールにも一定の法則を持った音階が存在していると主張。そして、かつてアラン・ローマックスが米国各地でブルースを録音し現代ポップスの礎を作ったように、改めてコールを民俗音楽として収集することで何かしらのヒントを得られるのでは、という趣旨で作られた音源である。
全体を通して聞いてみると、確かに音階には特定の閉じた文化の中で醸成された法則を感じる。これがポップスに直ちに活かせるかと言われるとそうは思わないが、少なくとも民謡のように将来的に貴重な史料となりうる音源だろう。そもそも現代は飲酒の強要が非とされつつあるので、コールの肉声が消えるのも時間の問題なのかもしれない。そう考えると、度々登場する耳を塞ぎたくなるような下品なワードや全く理解できないユーモアも、古典の生々しい表現や短歌の難解な掛け言葉のように思えてくる。
ただ、聞くだけならとにかく苦痛である。娯楽目的で買うのは全くお勧めしない。
この作品の作者は konumatakakiさんでした!
予想結果: aster_shion, kuronohanahana, northpole, dr_kudo, konumatakiki×2
その人の思い出というか、絡まれた記憶は結構昔からあるね。
最初は僕が五歳ぐらいの頃かな。ふらりと出歩いて、山の道を歩いて、迷いかけて……というか実際迷って、小さな東屋みたいな場所に着いたんだよ。
地図ある?……ここ。航空写真なら映るかな。ほら、建物があるでしょう?昔はここの谷のところにそれなりにしっかりした道があったんだよ。その先の村がなくなったから今では手入れされていないけれどもね。
格好は……どんなだったかな。確か振り袖っぽかった気がする。でも生地は安っぽい感じだった。まあ夏で暑い時ならあまり派手なのは良くないと思うけどさ。
それでまあ、遊んでもらって、それを親に話したらなんか土産持ってけって言われて。それで一升瓶を風呂敷に包んで、持っていったんだよ。
膝の上に乗せられて、甘い匂いがして、緊張したのは覚えている。
それ以降そこを訪れて、夏祭りの時なんかは一緒に出たりなんかした。面倒ではあったけどね、まあ君にしかできない役儀だなんて言われたら断れないわけで。
あとはまあ、そのまま流れでずっといるというわけさ。
……いるのか、って話ね。君はそういう分野を学んだことはあるかい?あるいは読んだとかでもいいけど。うん。
そういうものはね、いるってなっていたらいるんだよ。あまり気にしない方がいいさ。
あとは個人的に、あの人について外の人にとやかく言われたくないっていうのもあるけど。
……綺麗な人なんだよ。ずっと。あの時から。それを詮索して、関係が崩れてほしくはないんだ。
だから、いるってしている。
君も、できればここにいる間はそうしてほしいな。
この作品の作者は meshiochislash does not match any existing user nameさんでした!
予想結果: aster_shion, watazakana, teteito, konumatakiki, meshiochislash×2, dr-knotty×2
酒精の翅を捥ぐ正当性を 主張できない若人の僕
この作品の作者は kskhornさんでした!
予想結果: northpole, aaa9879, 1nar1×4
穴ぼこだらけのグラウンドに、サッカーボール代わりの空き缶が転がっていく。周囲からあがる歓声を背に、クリストフは泥濘に足を取られながらも食らいついていく。と、思う間に敵方のクリスティアンがカットして抜き去る。5人対抗の勝負は激闘の末2-2の相打ちで幕切れとなった。
「いや、強いなアンタ!大したもんだよ」クリストフの胸元に、キャップに注がれたジンが押し付けられる。おう、と答えたきり二の句が継げない。「ほら、飲め!Drink!Cheers!いや、Prostか!」おずおずとキャップを受けた手に、スキットルが押し付けられる。「Prost!」
「あぁ、Prost…いや、Cheers!」クリストフは一気にキャップの中身を煽る。強張った熱が胃へ駆け降りる。脳まで回る火照りを感じながらクリスティアンに目をやると、奴は早くもとろんとした目でニヤついている。半日前まで名前も知らなかった、薄汚いイギリス野郎が心なし子供にも見える。いやまぁ、神の前では皆子供のようなものか。今日この日に限っては。
……どれほど寝たろうか。目の前は相変わらず、泥と穴だらけの地面しかない。「バカ野郎!いつまで寝てやがる!持ち場に戻れ!」ぶっつけられた罵声に背を押され、目を擦りながら持ち場へと戻る。穴ぐらの中から外を見やれば、その向こうから7.7㎜の筒先が睨み返す。ブーツの中には泥水が浸み込み、脚のあかぎれに染みる。…ポケットの中のキャップの感触を確かめる。7.92㎜の筒先を構え、前を睨む。地獄にも、神はいるぞ。
1914年12月25日。氷点下の空に、それでも声は努めて明るかった。
『クソボケのイギリス野郎をブリテン島に追い落とせ!』
この作品の作者は teruteru_5さんでした!
予想結果: aster_shion, dr_kudo, aaa9879, meshiochislash, teruteru_5
大人っていうのは子供とは違う生き物なんだ。
そう理解したのは小学生になってすぐのことで、僕にとっては常識とも言えるほど当然なことだった。今だってそう思っているし、この考えは一生覆らないんだと思う。
僕の父親というのは世間一般で言うところの"ダメ人間"というものだった。もしかしたら"ダメ人間"という尺度で測ることすら出来ないほどの人間だったのかもしれない。
基本的にずっと家に居て、酒を飲んで、子を殴る。それが僕の父親だ。学校に行くことすら許さず、教師の前ではいい面を見せてヘコヘコ頭を下げているのが僕の父親だ。
気にいらないことがあれば殴るし、気にいらないことがなくても殴ってくる。それでいて殴る場所は"分からないように"ということで腹だけ。
理不尽極まりないと、心の底からそう思っていた。そしてその考えはいつしか"大人は子供とは違う生き物"という考えへと捻くれてしまっていたんだ。
そうして数年が経った頃のこと。僕は児童相談所に保護されることになった。"子供が虐待されているかもしれない"という近所からの通報が決定打となったらしい。
そうしてやって来た役員は口々に"安心して"だの"遅くなってごめんね"だの抜かしている。その様子に苛立ちを───それだけではなく気持ち悪ささえも───覚えていた。
やっぱり大人というものは理不尽だ。同じ生き物とは思えないほどに。慣れきった生活をここに来て壊すなんて。血が通っているとは思えなかった。
そうして家から去る最後の瞬間。僕の鼻をついたのは嗅ぎなれた酒の匂いだった。
この作品の作者は KABOOM1103さんでした!
予想結果: wagnascousin, jiraku-mogana, nanigashi-sato, kskhorn×2, kaboom1103, kata_men
よう、俺だぜ
インセインでイノセントな、未成年だぜ
突然だが、俺は筋金入りのワル
窓ガラスは割る
好きな色は黒(ノワール)
今日は飲むぜビール
未成年飲酒禁止法
ガッコで習った健康の影響
お前が信じるのはどっちの方?
俺と行こうぜアウトロー
ということで、今日もchillっていくぜ。グッモーニンワッツアップ?初めましてのダチは初めまして、武蔵浦和GANGチャンネルの〜You-die(ゆうだい)でぇ〜っす!
今日はね、なんと!おと…親父が出張でいないので、冷蔵庫にあるビールを一缶!拝借しちゃいたいと思いますっ!Fooooo!
では早速こちら!冷蔵庫にあった氷結!いいですね〜この、ひし形が並んでるとことか、めっちゃかっこいいっすね。それじゃ飲んでいく〜と思いきや!ま・さ・か、そのまま飲むわけないじゃないですか〜(笑)ツウの飲み方ってもんがあるんすよ!
こうやってね、酒を鍋に入れて、強火にかける!これね、熱燗(ねつかん)っていうんですよ。う〜んいい香り!最高にchillいっすね!もう美味しそう?いやいや、ツウはね、長くじっくりと火にかけるんですよ〜。それじゃあ熱燗やってる間にね、もう一本の氷結でカイジの真似しま〜す(笑)
この作品の作者は 1NAR1さんでした!
予想結果: rokurouru, mtkani_666, aisurakuto×2, k-cal, meshiochislash, 1nar1
街灯もまばらな郊外で、ガードレールに腰掛けたあなたは右手に握られた500mlのハイボール缶の重みを思い出す。手に取ったスマートフォンは闇夜の街道沿いの空に向け、いくらかの明かりと、現在時刻と、自身の電池残量が残りわずかであるという情報を吐き出した。
あなたは溜息をつきながら情報端末をポケットに押し込みつつ、まだしっかりとした重量を残した酒の缶を傾ける。飲みやすさを演出するためのレモンスピリッツが騒々しく口腔で喚いて少しだけ顔をしかめたが、後には木の樽の香りが残り、ようやくあなたは安堵する。
そこは帰路である。声が枯れるまで叫んだライブの帰りかもしれないし、気の置けない仲間との宴会の後かもしれないし、あるいは疲弊しつつ足を引きずりながら自宅へ帰る通勤路かも知れない。いずれにせよあなたは街灯のナトリウム灯に照らされながら、熱に浮かされるように、少しずつ金属製の酒杯を傾げている。
缶が空いた頃、酔いの冷めたあなたは立ち上がり、街灯のまばらな道を再び歩き出す。思考はすっかり冷え切っている。家に帰るのだ。自分の足で。
酒を愛する人間は2種類に大別されると村上春樹は短編小説で書いていた。酒で自身に何かを付け加える者と、酒で自身から何かを取り除く者。僕はそのうちどちらにも当てはまらなかった。僕にとってのアルコールは冷却材だったから。熱くなりやすい僕の魂と心を冷やす、素っ気ない僕の友人。きっとあなたもそうなんじゃないかと思っていて、だから僕はこの文を書いている。
もし違うのなら、僕はもう少しだけ酒を飲まなくてはならない。本当に不本意だけれど、仕方ない。僕にとってのアルコールは冷却材だったから。
この作品の作者は R_IIV does not match any existing user nameさんでした!
予想結果: germanesono, rokurouru, teteito, enho-osho, meshiochislash, R_IIV×2
天から張り詰めていた糸がぷつりと切れた
積まれた空き缶が崩れ落ちる
飲み残され忘れられた泡が音もなく消える
執拗な夜風からカーテンが逃げて、テディベアの瞳に夜光が照る
宙に月がぶらんこを漕いでいる、それは酩酊の印
蛇口から堪えきれず逃げ出した水滴がシンクに落ちる
水音
汗ばんだジーンズとキャミソール
肌に張り付いて、熱と疼きは逃げられない
少し透ける肌色は、その意地の悪さだ
アルコールは巡り、気化出来ないもどかしさが募る
握りしめたジッポーの冷たさ
押し殺した声と価値の無い倦怠感
シーツに溶けて消えていく
上気した黄金色の肌のような欠乏
埋めるために、また新しい缶を積む
冷蔵庫が鳴いている
そう遠くないクラクション
開かないプルタブが夜3時を告げる
この作品の作者は Dr_Knottyさんでした!
予想結果: kuronohanahana×3, teteito, nanigashi-sato, k-cal, roneatosu
何もかも酒が悪いのだ。そういう事にしたい。
いや、全体的な盛り上がりもないまま終わった飲み会も悪く、わりかし酔ってるくせにそれを顔色に一つも出さずに飲み足りないからと宅飲みなんぞに誘って来たこの男も悪く、あとギリギリIKEAに売ってなさそうな風情の絶妙に仄暗い小洒落た間接照明が悪い。オフィスの机周りは百均で固めてるくせに。ちなみに照明は朝になったら消えていた。消した余裕はなかった筈だから自動なんだろう。上等な暮らしをしていらっしゃる。
そう、朝。他人のベッドで土曜の朝を迎えている。窓の向こうには爽やかな日射し、街路樹を揺らして吹き抜ける風。酒と汗の匂いがじっとり籠った空間と窓一枚しか隔てていないとは信じ難い。挙句こちらはオールバックの残骸を晒して寝息を立てている家主の体温とかいう最悪のオマケ付きと来た。肌に貼り付いたシャツの下がどうなっているかなんて想像もしたくない。するまでもないと言うべきか。
何が悪かったのかと記憶を辿る。四杯目までは、他人の酔い具合を観察して窘める程度には大丈夫だったはずだ。顔には出なくても耳には出るなと思ったし、ほんのわずかに色づいているのがちょっと美味しそうだなと思って、あっ、普通に駄目だった。少し触れるだけで酒の匂いがする生温かい吐息が震えるのが楽しくなって、あと案外向こうが乗り気で、おい、回想止めていいか。合意だったと判ったのだけが救いだ。どちらも最低最悪のクソ野郎ではないってこと。
酔いが醒めた頭で考える。二つ年上の男は昨晩の声が嘘のように静かに眠っている。
途中の記憶はほとんどない。それを惜しいと思ってしまった。
全部俺が悪い。そういう事にしていいとすら思った。
この作品の作者は kata_menさんでした!
予想結果: bariganesensha, nanigashi-sato, gokipo, kskhorn, kata_men×3
冷蔵庫から赤星———サッポロラガーを取り出し、プルタブを上げる。先に準備していた冷凍餃子を口に放り込み、赤星で流し込む。私の晩酌のルーティンだ。
私が赤星を好むようになったのは父親の影響であった。父親は帰宅するとまだ幼い私を膝上に乗せ、赤星を飲みながらテレビで野球を観るのが毎晩の決まったルーティンであった。
そんな父親とは1度だけ、野球観戦に出かけたことがあった。赤星繋がりで阪神の赤星憲広のファンだった親父は、当時優勝を決めた彼のサヨナラ安打を目の前で見て手が付けられないほど号泣していたのをよく覚えている。
それからというもの、親父はあの日のことを赤星が引退した後も赤星を飲みつつ語るというのが毎晩のルーティンとなった。去年暮れに亡くなるまでそのルーティンは崩れることは無かった。
テレビのリモコンを手に取り、電源を入れる。ちょうど阪神の先頭打者が2塁へ盗塁を決めた所であった。よし、と小さく声を出し赤星を口に運ぶ。
阪神のスピードスターを応援する。これもまた、父親の影響であった。
