author:1NAR1
1NAR1×18, KABOOM1103, meshiochislash
ボタンを押す。アラームが鳴る。0秒。
ビルがドアを蹴破ってキルハウスに飛び込むのを見届けつつ、奴の弾倉に5.56mm弾を装填してやる。金属製のSTANAG弾倉は塗装があちこち剥げていた。
キルハウス。家屋突入時の近接戦闘訓練用の張りぼての家。それにしてもキルハウスとは、名付けた奴はずいぶん良い性格をしている。心が安らぎ、リラックスでき、殺しの練習ができる我が家。
弾倉をロードし終えたころ、ビルがキルハウスから出てくる。
「何秒だった」
「測ってねえよ。なあ、もう止めにしねえか」
「準備が8割。以前合同訓練したどこかの国の軍人が言っていたよ」
「何をそんなに気負ってる」
最後の1本になった煙草に火をつける。ここらは禁煙だった筈だが気にしない。発砲許可が出てるのに喫煙は禁止という事も無いだろう。
「前回の仕事も子供がターゲットに含まれていた」
ビルの言葉に、吐き出していた紫煙が勢いを失する。
「その時は引き金が引けた。でも次は撃てない。そう確信があった」
「ビル。任務を降りろ。次の仕事は俺がやる。休暇でも取って家族と過ごすんだ。丁度クリスマスだろ。嫁さんを抱いてガキ共と過ごせば少しは気も晴れて――」
「離婚したよ」
「いつ」
「前回の任務の直後だ」
馬鹿野郎、と言いつつ、火の残った煙草を地面へ放る。ビルは新しい弾倉をリグに収納していた。
「俺に残された家は、もうここだけなんだよ、サイモン。キルハウスは良い。心が安らぎ、リラックスでき、何より殺しの練習ができる」
「……準備良いか」
ビルは答えず、M4小銃のボルトフォアードアシストを拳で殴った。
ボタンを押す。アラームが鳴る。0秒。
author:NorthPole
ashimine×3, H0H0×4, KABOOM1103×2, k-cal, konumatakaki, Musibu-Wakaru, NorthPole×8
常日頃から「一人暮らしは大変だ」とこれ見よがしにぼやいていたのに、先輩は終ぞ家を教えてくれなかった。教えてくれれば毎日でも訪ねて家事でも買い出しでも手伝ったというのに。
代わりに先輩は僕の家に来たがった。最初は遠慮がちだった提案はそのうち確認と化して、時々断る素振りを見せると先輩は酷く怯えたような、傷ついたような顔をした。時々彼女のそんな顔が見たくなって理由も無く渋ってみたりした。もちろん最後には了承したが。
だからその日、本当に断らなくてはならなかったのは実に不本意な事だった。先輩は別れるその時まで震える声で本当にダメなのかと何度も尋ねてきて、明日必ず埋め合わせをすると約束をしてようやく帰路についた。小さくなっていく後ろ姿が寂しげに見えた。
数日後、先輩が何日も休んでいる事を知った僕は彼女の家を探し始めた。やれ選挙カーの騒音が酷いだとか、やれスーパーのドリアンが臭かっただとか、そういう苦労話を辿って。
夢に思い描いたような毎日だった。ずっと今が続いていてほしかった。そう思っていたのは僕だけだったのかもしれないと、どうにか探し当てた先輩の家で他ならぬ先輩の死体を目にして初めて気づいた。
物が無かった。ボロボロになった先輩の遺体とベッドくらいしか。そこは明らかにそのためだけの空間で。
なんで、と漏れた僕の声で自分のせいだと遅れて気づく。僕がどれだけ残酷な事をしていたのか、この結末を防ぐ機会がどれだけあったのか。先輩がどんな気持ちで僕の前に立っていたのか。何も分からなかった。何も。
僕の家を先輩が尋ねる事は二度と無い。それだけの事実を受け止めるのに何度胃酸をぶちまけたのか、僕はもう覚えていない。
author:islandsmaster
1NAR1, ashimine×6, H0H0, islandsmaster×4, KABOOM1103×3, k-cal×2, NorthPole×3
大昔の話だ。
引っ越しの話をされた時、僕は楽しみで仕方なかった。前の家はひどく狭い上、学校からとても遠かったんだ。新しい家は広くて明るくて、僕には何の不満もなかった。
ところが引っ越してしばらく経った頃、妹が僕にこう言った。
二階の隅にお婆ちゃんがいるよ。笑ってて、優しくて、しわしわなの。
新しい家は実際住んでみると、何か奇妙な臭いがした。前の家主が放蕩者で、碌に手入れをしなかったせいらしい。それで両親は掃除に忙しく、娘に構っていられなかった。
お婆ちゃんはまだいるの、って、折を見て聞いたよ。答えはいつも一緒だった。
笑ってるよ。しわしわだよ。
餅みたいな頬を膨らませて、手を振り回して楽しそうに言うんだ。怪談って柄じゃない。僕も怖がったりしなかった。ただ妹だけが会えるその人を、家中探し回ったよ。
言葉にしてしまえば、見つかったのは毛布一枚だ。
二階の奥にある備え付けの衣装棚。最上段の隅に、前の住人が残した毛布があった。ひどく傷んで毛羽立っていた。ただ僕がそいつを見つけた時、触ってみると暖かかったのさ。引っ越しから一年は経ってたのに。
そこは家主の母親の部屋で、彼女は息子と不仲だった上、随分前に死んだらしい。両親は不思議がったものの、妹が毛布を使うのを許した。妹はすぐにこの話をしなくなったけど、家を出る時に毛布を持っていったよ。お守りか何かなんだろう。
僕は彼女の姿を見たことがない。だけど、もしまだ彼女がここに住んでいて、二階の隅で笑っているんだとしたら、嬉しいことだと思わないか。名前も知らないお婆ちゃんだけど、どうやら優しい人らしいからね。
だからまあ、その、悪いけど。
次のお土産は、もう一人分頼むよ。
author:KABOOM1103
ashimine, H0H0×3, KABOOM1103×6, k-cal×4, konumatakaki×2, Musibu-Wakaru×3, NorthPole
孟母三遷。この言葉にたいそう感銘を受けたある少年の母親は、このような片田舎に我が子を住まわせていることにひどく憤慨した。過疎を極めたようなこの後退的な街は子育てに向かない。毎日シャッター街を見ながら登下校している息子は退廃的で意気地なしに育ってしまうに違いない! そう思った母親は明るく活気に溢れる場所、そう都会へと引っ越した。
ある少年の母親は、このような繁華街に我が子を住まわせていることにひどく悲嘆した。浪費を象徴するかのようなこの無遠慮な街は子育てに向かない。毎日道端の吐瀉物跡と煙草の吸い殻を見ながら登下校している息子は周りを顧みない無法者に育ってしまうに違いない! そう思った母親は治安もよく秩序的で美しい場所、そうシンガポールへと引っ越した。
ある少年の母親は、このようなシンガポールのチョア・チュー・カンに我が子を住まわせていることにひどくペニェサラン(後悔)した。テガス(厳格)を詰め込んでオタオタ(マレーシアの郷土料理、魚の切り身を詰めて蒲鉾のようにしたもの)にしたようなこの峻峭的な街は子育てに向かない。毎日警察官と監視カメラに目をひん剥かれながら登下校している息子は西洋庭園の低木のような妙味に乏しいアンドロイドに育ってしまうに違いない! そう思った母親は息子が開放的に振舞える場所、そこまで人目を気にすることもなくある程度の自由と暇が約束された場所、そう片田舎へと引っ越した。
邯鄲の歩。この言葉が脳裏に浮かんだ少年は、自身の母親に節操を詰め込んでオタオタにしてやろうかと思った。所詮猿真似、愚母の後知恵。孟母断機も出来ない親は、どこに住んでも石に灸。
author:meshiochislash
H0H0×2, islandsmaster×3, meshiochislash×14, Musibu-Wakaru
コンビニの帰り、音楽に向けていた意識を視界に戻すと、想定より狭い道に入っていた。どうやら道を曲がり忘れたらしい。プレイリストを一時停止、イヤホンを外す。
深夜の脇道は静かだが、怯えて引き返すほど暗くもない。まばらな街灯を頼りに先に進む。来たことが無いわけではない。むしろ昔よく通った道なのに、どこか見慣れない。
路地を入って曲がった先、右から二番目の一軒家。小学生の時、毎日のように遊んでいた友達の家がここだった。学校が終わってから陽が落ちるまで、友達とひたすらにゲーム。小学生にあるまじきインドアな日常は、疎遠になった今では、曖昧な思い出。酷い話──表札を見るまで、苗字すら忘れていた。だからもう、見慣れなくても不思議はない、のか。
暗く、はっきりと見えない一軒家は、思い出にある物と違うような気もする。工事でもしたのか、それとも俺が変わったのか。どちらにせよ感慨はなく、ただ通り過ぎる。
瞬間。ぱちり、と、センサー式のライトが俺に反応して、家の玄関先を照らす。防犯用だろう。なんの気なしに目をやって、足が止まる。確かな明かりのある景色、無かったはずの見覚え。気付く。幼い俺は夜を歩かない、この路地の薄暗さを知らない。だからやっぱり、変わったのは俺だった。
けれど。幼い頃の思い出を、まだ俺は握れている。過ぎ去った実感は何処となく嬉しくて。少しだけ昔を想い、それから俺はまた歩き出す。
センサー式の明かりはきっと、俺の背後でひっそり消えた。
author:k-cal
ashimine, H0H0×2, islandsmaster×2, KABOOM1103×5, k-cal×7, konumatakaki, Musibu-Wakaru×2
その犬小屋には、犬山さんがいる。
学校から少し離れた廃屋。その庭には大きな犬小屋があって、柴犬色のスウェットを着た男性が住んでいる。それが、犬山さんだった。
彼は一切喋らず、いつも老犬のように小屋から上半身を出して眠っている。友人のいなかった私は、時折そこを訪れ、彼と遊んでいた。遊ぶといっても、近くで本を読み、お菓子をあげ、頭を撫でるだけである。彼はお菓子は平らげるくせ、それ以外は最低限の反応しか返さなかったし、悩みを吐露しても、半分閉じた目で私を見るばかりであった。
今思えば異常だが、馴染めない学校よりこの異常な庭のほうが、私にはよっぽど心地よかったのである。
しかしある日、彼は消えた。プレートの「犬山」という名前以外、彼に関することは全然不明で、私は、彼が保健所に送られたのだと思って泣いた。それから大人になり職を得て、眠れぬ夜を過ごす中、記憶の中の犬山さんは、唯一の私の友人であった。
そして現在、眼前のスーツの男。私はその顔に見覚えがある。
「大山です」
何かが欠けたのは名前だけではないだろう。私は焦りを悟られないよう彼との商談を終え、こっそりと後をつけた。やがて彼は立派な一軒家に吸い込まれていく。玄関が開くと、中からおかえりと声が響いた。
心を抉られたような気分で、私はふらふらとその家に近づく。そうして見つけた。庭の中、大きな犬小屋。
私は自分の体を犬小屋の中に押し込め、目を瞑る。狭いが、心地良い。物音がして目を開けると、入り口に男が立っていた。
彼は身を屈め、顔を近づける。私は、彼の鼻に自分の鼻を押し当てた。ああ、落ち着く。そうして私は、深い眠りに落ちた。
author:ashimine
1NAR1, ashimine×4, H0H0×2, islandsmaster×5, KABOOM1103×2, k-cal, konumatakaki, Musibu-Wakaru×3, NorthPole
重たい身体を引き摺るようにして老人は家路を歩む。自宅と仕事場の往復に、彼はすっかり疲れ果ててしまっていた。はしゃいで通り過ぎて行く小学生達に羨ましさを覚える。熱意漲る若かりし頃の思い出に懐かしさを抱きながらとぼとぼと進む老人の前に、突然それは現れた。
三原色に彩られた、全長5mはありそうなゴムの家。入り口のファスナーから絶えず空気がしゅうしゅうと漏れる。バルーンハウスだ。昔はデパートや遊園地で何度も目にした、齢1桁の幼子限定のアスレチック。
「良ければ遊んでいかれますか?」
横に立つ係員らしき男が見惚れていた老人に声を掛ける。
「しかし私はもう58だ、こんな遊び場は……」
「結構ですよ。このバルーンハウスは、誰でも遊んでよいのです」
促されるままに、彼はファスナーからハウスの中に飛び込む。四方八方からの空気の奔流に襲われ、骨と皮だけの身体は宙を跳ねた。ジャンプなどしなくても、地に足が着くと同時に反動で再び空中に舞い上がる。楽しい。止まることなく怪我することなく弾み続ける老人は、しかしすぐに不安になった。
覚束ない。いつまでもこれといった場所に着地出来ず転がる状態に、苛立ちすら感じて来た。
彼は外の男に呼び掛ける。
「もういい。出してくれ」
ファスナーから伸びた腕に引っ張り出され、老人は再び確固ある地面に降り立った。
「まだ1分も経っていませんが」
「いや結構。やはりここは子供の遊び場だ。こんな所で浮き足立っていては、妻と娘に叱られてしまうからね。では失礼」
老人はそう言い、振り返ることなく家路へと急ぐ。
歳を重ねた彼には、無機質で面白味のない、しかしこれ以上ない程の安泰な暮らしが恋しくてしょうがなかった。
author:konumatakaki
H0H0, k-cal, konumatakaki×15, meshiochislash, Musibu-Wakaru, NorthPole
大学から帰ると、私のベッドで高校の制服を着た少年が寝息を立てていた。変なところをぶつけないように頭に手を添えながら転がして落とす。結構痛そうな音がしたのにもかかわらず、彼はまだ夢の中だ。
「まったく……」
この部屋は壁が薄いせいで今日みたいな日には完全に冷え切ってしまう。彼もどうせ来たなら暖房ぐらい入れておけってんだ。悴んだ手を少年の首元に当てて、少しづつ指の感覚を戻していく。そうしていると薄目を開けた彼と目があう。
「……おかえりなさい」
「ただいま」
「冷たいのですが」
「私は今日、寒い中で屋外実習なんて非常に愚かな行為に付き合わされてきて気力も体力も無くなっているんだ。君の熱量をもらうぐらいは許容されるはずだけど」
「だから温めておいたのですが」
少年は私に恨めしそうな目を向ける。
「あれ、そういう意味?」
「今そういうことにしました」
「ならせめて服は脱ごうよ」
「上着は脱いでワイシャツは毎日変えていますし、これはズボンではなく防寒用のタイツです」
実際見ると、私が色だけで判断していたのは彼が言う通りズボンではなかった。なんてあったかそうなものを。私もああいうの買おうかな。でも今日は寒いからもう外には出たくはない。
「……疲れたから、ちょっと寝るね」
私はまだ熱が残る布団に潜って、少年を手招きする。
「私が意識を失うまででいいから、こっち来て」
「……はいはい」
素足に触れるタイツの柔らかさを感じながら、私は目を閉じた。
author:H0H0
ashimine, H0H0×3, islandsmaster×4, k-cal×3, meshiochislash×3, Musibu-Wakaru×3, NorthPole×3
夏の終わりに、ベッドの上から殆ど動けなくなった。何度か起き上がったけれど、トイレへ行こうにも頭が痛み、食事を取ろうにも食べたいものが浮かばず、外に出ようなど考えることができない。自分の体か楽になるタイミングを待ってスマートフォンを触ろうが、午前1時を迎えるだけだった。
布団の中で目を瞑れば、夏が映る。照り付ける日差しと一緒に、些細な出来事がフラッシュバックする。惨めだ。誰が言ったかも分からない薄っぺらいアドバイスが吐き気にも似た強迫となって咽頭を焼く。「今が一番若いんだ、時間を無駄にするな」と。何もせずにぼおっとしていると蝉の声が聞える気がして、大音量の音楽をイヤホンで流し込んだ。
それから2週間が経つ昼、目が覚めるとカーテン越しの光が眩しくて窓を開けた。瞬間、風が理想の秋を乗せて部屋に流れ込む。乾いた涼しさと、柔らかな日差しと、僅かな金木犀の香り。
得体の知れない焦燥に駆られ、寝巻で歩き回った。金木犀の場所を見つけ出すと、その日はそのまま帰り、一人で眠った。
それから毎日散歩に出かけてはその場所を訪れた。今日も香りがする。その香りは私の中の蝉の声を押し流す。ピッチを優しく溶かす。しかし、香りが日々弱くなっていく。何もできずに、何もせずに、地面に落ちている花の数が増えるのを毎日確かめに行った。
その日は朝から雨が降っていて、夕方の晴れを狙って散歩に出かけた。金木犀の花はすべて落ちていた。地面から立ち昇る僅かな香りが恐ろしくて、その場から逃げるように日が暮れるまで歩き回った。そして、空を見ながら帰った。
星落ちぬ秋を導く迷い香よ私を置いて何処へゆくのか
一人で寝床に入る。目を瞑れば、秋が映る。
author:Musibu-Wakaru
ashimine×4, H0H0×3, islandsmaster, KABOOM1103, k-cal, meshiochislash, Musibu-Wakaru×6, NorthPole×3
はじまりは夕飯のハンバーグを焦がしたことだった。言い合いになり、彼は珍しく大きな声を出し、私も負けじと声を張り上げた。彼がくしゃくしゃの泣きそうな顔で後ろの壁を蹴った時、嫌な音がして、そこに穴が空いた。漏れた空気が私たちの間を通り抜けていった。それは静かで決定的だった。
彼は荷物をまとめて出ていき、私は不貞腐れて眠った。
目覚めると枕が濡れていた。窓から光が差し込んでいて、彼はいない。もう帰ってこないと直感した。電子レンジでハンバーグを温める。部屋は2人の物が混じりあっていて、互いにまだ呼吸をしている。
目覚まし時計。家にあると言ったのに、彼がうっかり買ってきたもの。昨日までこの音で起きていた。
ペアマグカップ。2人で水族館に行った時に買ったもの。コーヒーを飲む時はこれを使っていた。
辿っていると電子レンジが鳴る。芯が冷たいハンバーグは昨日のそれよりも少し苦い。
思い出を簡単に捨ててしまう彼のことが分からなくて、一方で縋るように囲まれている私のことも分からなくて、漫然と許せないと思った。
だから掃除をした。いっさいを捨ててしまえばきっとこんな思いをしなくて済むから。決別と言った方が正しいかもしれない。ネックレスも、ドライフラワーも、舌につけるピアスも、カレンダーも。全部ゴミ袋に突っ込んだ。燃えるゴミに出してしまおうと思い、いっぱいになった袋を抱える。その時不意に目に入った。穴。彼の置き土産がこちらを覗いているのだ。それを認めた瞬間、涙が溢れた。怒りのせいだと思いたかったが、そうではないことは自分がいちばん理解していた。ビニール袋を抱えたまま、とうとう私はそこから動けなくなってしまった。