第三回 - 700字文体シャッフル企画

第三回:700字文体シャッフル!


投票終了!


テーマ:A

参加方法:meshiochislashのTwitterかDiscordのdm、wikidotのpmに700字以下の短編を投げる。投稿制限なし。

参加資格:SCP-JPに著者ページもしくは自作taleがあり、AIでなく、作品に最低限の社会性がある。

Q.文体シャッフルって?
A.みんなで匿名で文書いて、それを誰が書いたか当てる企画です!だから何書いたかいうなよ!

Q.期間短くね?
A.ああ!

Q.過去作は?
A.下記リンクから文体シャッフルハブに飛べます!

http://pond-of-lotus.wikidot.com/500or700

Q.構文は?
A.by ukwhatnukwhatn。偉大なる御大に感謝。




author:islandsmaster

islandsmaster×6 Dr_kudo Utsuki_K


大学4年生の夏、死のうと考えたことがある。

特別な理由なんてない。ただ何もかもがうまくいかなかった。勉強、恋愛、就職、家族、すべてに希望がないように見えた。誰も俺のことに気づいていなくて、沼の底に沈んでいくようだった。

汚い部屋で2週間悩んで、最後に教授に相談した。

西日の差し込む狭い廊下で、一冊の辞書を渡された。毎日5限にここに来て、チャイムが鳴るまでノートに写す。範囲はAから始まる英単語。時給1100円のアルバイト。

なぜ引き受けたのかは覚えていない。たぶん金がなかったんだろう。

英英辞典の頭から、ただひたすらに手書きで写す。そろばんabacusからaxisまで続けて一冊。別の辞書に移ってもう一度。比較辞書学なんて分野、それまで聞いたこともなかった。ただ無心に手を動かして、一日分の死の誘惑が、引っかき傷みたいな殴り書きに変わる。きっかり30分ごとに教授が部屋を覗き込み、俺が死んでいないか確認する。

結局、それが一年続いた。

ダブりの学費を差し引いてほんの少しだけ残った金で、夕焼け色のウィスキーが買えた。最後の日に教授の部屋を訪ねると、彼は笑ってこう言った。

死にたくなったらまた来てください。今度はCからお願いします。

そうして酒を受け取ると、最後のノートを俺に返した。

そいつはまだ俺の部屋にある。葬儀の後に見た教授の書斎には残りの全部のノートがあって、それで俺は初めて気づいたんだ。比較辞書学は存在しない。Aは全部のアルファベットで最も単語数の多い文字だ。

22歳の俺はバカだった。親と不仲で、貧乏で、おまけに考えなしだった。今でもそんなに変わっちゃいないし、たまには死にたくなるときもある。

そんなときはCの項を写す。


目利き部門 優勝

k-cal,suamaX

(8pt.)

準優勝

northpole,kiygr
(6pt.)

文体部門 優勝

islandsmaster
(6pt.)