第10回 - 700字文体シャッフル
テーマ: 自身の文体(なし)
投稿期間: 04月14日 ~ 04月16日
予想期間: 04月17日 ~ 04月19日
参加方法: 以下のグーグルフォームに必要事項を入力して送信してください
レギュレーション: ①700文字以内 ②今まで世に出していない ③1作まで ④過去SCP財団に一作以上taleを投稿しているor単著が3作以上ある
※ レギュレーション違反の作品は公開されないか、公開後に気づいた場合は非公開になります。事前連絡は基本できません。また、捻くれるときは自分の責任で! 僕は素直な感想を言います。
Q and A
Q.文体シャッフルって?
A.みんなで匿名で文書いて、それを誰が書いたか当てる企画です!だから何書いたかいうなよ!
Q.過去作は?
A.下記リンクから文体シャッフルハブに飛べます!
Q.構文は?
A.by ukwhatn。偉大なる御大に感謝。
主催 - meshiochislash does not match any existing user name
原案者 - meshiochislash does not match any existing user name
EianSakashiba
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著者ページ
hallwayman
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著作
KABOOM1103
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著者ページ
meshiochislash does not match any existing user name
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著者ページ
R_IIV does not match any existing user name
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著者ページ
2MeterScale
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著者ページ
eagle-yuki
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著者ページ
Hoojiro_san
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著者ページ
Kuronohanahana
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著者ページ
kyougoku08
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著者ページ
ShicolorkiNaN
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著者ページ
souyamisaki014
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著者ページ
teruteru_5
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著作
Azalea-000
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著者ページ
GermanesOno
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著者ページ
Jiraku_Mogana
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著者ページ
pope3pape does not match any existing user name
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著者ページ
Ruka_Naruse
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著者ページ
stengan774
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著者ページ
usubaorigeki
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著者ページ
投票締め切り: 4月19日23:59まで
以下のグーグルフォームに必要事項を記入の上投稿してください
A: https://forms.gle/jMCQ1VonBZPfwu1H9
B: https://forms.gle/jxi2grMxpQ3FPqoP6
C: https://forms.gle/TzQmXXdxRA6tsY767
A グループ
この作品の作者は kihakuさんでした!
予想結果: kihaku×3, Dr_Kudo, izhaya, k-cal
しんしんと粉雪が降りる。空も地面も全てを白く塗る。ひたすらに静寂な窓の外はどこか幻想的で、少女は母親が昼食に呼ぶまでずっと眺めていた。少女が賑やかな食卓につくと、所狭しと並ぶクリスマスチキンやローストポークから立つ湯気は食欲を刺激し、ガチョウの林檎煮の甘酸っぱい匂いが腹を満たす。聖夜の静かな、しかし暖かい団欒を囲み、少女は胸の前で十字を切ってローストビーフで食欲を満た────
閃光と衝撃が轟いた。
「酷い有様ですねぇ。こんな厚ぼったいの着なきゃ歩けないんじゃあ生存者は見込めないでしょうに」
「そりゃそうだがな」
くぐもった声で話す二人の男は、白い防護服姿を着て緩慢に歩を進める。
「ここら一体は一段と酷い」
「国際法なんざ初めっから当てにゃならねえんだ」
瓦礫の裏を覗いては落胆したようにまた歩き出す。
「──ね」
声を聞いた気がした。疲労かと思いつつ瓦礫の向こうを覗き見る。
「……見つけました。生存者です」
「なんだと」
引き返してきた男も、崩れた壁の向こうを確認する。
「──美味しいねパパ。」
「一口あげる、え、いらないの。じゃあ私が全部食べていいのね」
「……ひでえな」
男は小さくそう一言絞り出す。
「助けますか?」
「……いや、手遅れだ。あちこち炭化してる。この分じゃ心もダメだ。荷物だよ」
男は小さく十字を切り、既に先を歩き始めた男の後を追って、やがて消えた。
マリンスノーの様な白灰が降りる。街の亡骸を飾っていく。残るのは、二人のしろくまの足跡と、ひたすら自らを切り分けて口へ運ぶ少女、それに黒い影がいくつか。空は依然として鈍白を湛え、いつものように静かに、温かみの残る聖夜を埋めていく。
この作品の作者は SuamaXさんでした!
予想結果: SuamaX×3, Dr_Kudo, KABOOM1103
初めて煙草を吸ったのは、20歳になってから丁度1週間後のことだったと思う。
「ラーメン食ってるときにちょっと外出て吸う煙草が一番旨い」とは悪友の口癖だ。必修の4コマ目をサボってパチスロを打ちに行ったかと思えばテスト前には過去問をねだるろくでもない奴だった。
別に奴のことを尊敬はしていなかったが、こと嗜好品の話においては信頼のできる人間だった。だから、初めて煙草を吸うときは自宅でラーメンを食べながら吸おうと心に決めていた。
初めての煙草体験は、最悪の一言に尽きる。
煙で咳き込むわ舌がヒリヒリ痛むわで煙草の爽快感なんて微塵も分からなかったし、残りのラーメンを食べようにも既に伸びて冷えてしまっていたラーメンを焼けた舌で食べるのは中々苦痛だった。
それから3日後くらい。悪友にちゃんとした煙草の吸い方と初心者向けの煙草を教えてもらって、奴の家で改めてラーメン後の煙草にチャレンジした。
咳き込んだり舌が痛んだりすることはなかったものの、やはりどうしても「煙草が旨い」という感覚はよく分からなかった。
奴にそれを話すと、笑いながら「ずっと吸ってりゃいつかは分かるよ」と言った。
それ以来、特に日常的に煙草を吸うようなことはしていない。自分の体には煙草は合わないんだと、そう理解していた。
ただ、晩飯にラーメンを食べるとき、ふと思い立ってコンビニで煙草を1箱買っていくことがある。
そして、ラーメンを食べ終わった後に一服しては、「こんなもの買うくらいならラーメンに味玉でも乗せた方が有意義だったな」と思いながら、1本だけ取り出した煙草の箱をくしゃくしゃに潰して棄てる。
それくらいで良いのだと思う。
この作品の作者は seda87neさんでした!
予想結果: seda87ne×3, Dr_Kudo, R_IIV
「それで、話って?」
放課後の教室で、私は先輩と向き合っている。先輩の艶のある長い金の髪が夕日を受けて煌めく様は、朝焼けの海を思い起こさせた。瞬きをする度に、長い睫毛に囲まれた虎目石が煌めく。
この学園に咲く花の中でも一等美しい大輪のダリア。威風堂々とした気品と親しみやすい茶目っ気を兼ね備えた風貌の、何にも臆することのない王者の蕾。未だ獅子の仔ながら、しかし雛鳥を導くには十分すぎるほどの光を持った星。
「先輩に、まだ妹さんはいらっしゃいませんでしたよね」
星の前で声が震えて、握りしめたロザリオが手にくい込んで痛みが走る。張り裂けそうに高鳴る胸に比べれば、なんてことない些細な痛み。
「そうだよ。どちらも、ね」
演劇部で幾度も主演を務めた柔らかな低音。女性にしては幾分か低い声はヴァイオリンを思わせる響きで、わたしの脳髄に染み込んでくる。
少女たちが集うこの花園で、姉妹という言葉は二つの意味を持つ。学園の外と同じ、血や絆を分けた家族を示す言葉と、
「私の、お姉さまになっていただけませんか」
それ以上のもので繋がれた二人の女生徒を意味する言葉。死にすら分かたれない、恋よりも深く愛よりも重い永遠の絆。この告白が決して軽いものではないことを、先輩の永遠に似た沈黙が暗に伝えていた。先輩とは違い一般的な女生徒である私が、他の人たちと同じく丁重に断られるであろうことも。
「もちろん」
それなのに、返ってきた四文字は取り落としてしまいそうなほど軽かった。頭が追いつかないまま、耳を疑ったり目を白黒させたりと忙しない私を見て、先輩はくすりと微笑んだ。
「真っ直ぐ伝えてくれたのは君が初めてだよ。これからよろしく、マイシスター」
この作品の作者は EianSakashibaさんでした!
予想結果: EianSakashiba×3, ocami, R_IIV
ある閉じた街に歌姫がいた。歌うのは「未知」。見たことない景色や聞いたことない生物を彼女はメロディーに乗せて歌う。街の外を知らない住民は未知を教えてくれる彼女の歌が大好きだった。あなたは問う。
「歌、好きなの?」
「好き。歌詞を書くのも音を紡ぐのも自分の喉で歌うのも。何より未知を想像して歌を創造するのも!」
街は発展し、世界は広がった。
「何で私の歌を聞いてくれないの?」
「地球の裏側も月の地面も簡単に行ける場所になったから、実際にその景色を見た住民が君の歌は真実じゃないって…」
「噓と想像は違う。私は想像しただけ。ワクワクしたかっただけ…」
嫌われても歌い続けると、その時は誓っていた。
誓ったはずなのに彼女は自分から電源を切った。最後の歌は自分自身の歌。誰よりも外の未知に発信した女の子が最後に歌ったのは、内面の叫びだった。苦しい辛い、本当の私は絶望だと。聴衆は裏切られたと悲観や憤怒で満たされたが、あなたは誰かのために歌ってきた彼女が自身のために歌う姿を見て、嬉しいと思った。
10年後、あなたはかつて歌姫の憩いの場であった時計塔のてっぺんに立つ。
「今、歌を歌う人は沢山いる。未知に思いを馳せ、物語を作りたいって人がいる。かつて君の歌を聴いていた人達だ」
「これは君自身の意思に反するかもしれない。歌をやめろって叫ぶかもしれない。でも僕は君がそう思う以上に君の歌を守りたい。絶望を叫んだ君も希望を歌った君も、どちらも間違いなく君だからこそ、みんなは未知や君のこと、あの日聴いた歌を想像して歌うんだ」
「だからさ、羨ましいなって思ったなら、いつでも帰って来ていいからね」
歌を歌う。広がり続ける世界中に聴こえるように。
この作品の作者は Dr_Kudoさんでした!
予想結果: kihaku, EianSakashiba, Dr_Kudo, ocami, k-cal
隣でハンドルを握る幼馴染が楽し気にアクセルを吹かす。整備士の先輩から中古で買ったという古い軽自動車は、外見に似合わずキビキビと走る。
聞いたところによると、どうも相当手が入っているらしい。一体どんな交渉をしたら、そんなのを譲り受けることになったのか。
「いやー、だってバス会社なんて、バスいない間は暇だもん。趣味の産物だよ、これ」
「あーやだやだ。田舎ってそんなのばっかだ」
「あんただってついこないだまでいたでしょうに」
笑う幼馴染は、とても丁寧にカーブを曲がっていく。日常的に運転する職に就いただけのことはある。
「久々に連絡を寄こしたと思ったら、急にドライブだもん」
「行楽シーズンが一段落したからね。どうせなら一番に乗ってもらいたくって」
私は鼻を鳴らして窓の外を流れる山々を眺める。正直、関係は終わりかと思っていた。
地元で親とか親戚とか色んな人と喧嘩して、大学に入って東京に出て。仕送りもなく、学校とバイトで忙しくしている中、偶々空いていた休日に、彼女が誘ってきたのだ。
振り切ってきたはずなのに、何事もないような顔で。忘れるために逃げたはずなのに。あの小さな町では絶対に成立しない想いを持て余したはずだったのに。
山道も軽々とクリアする彼女は、きっと会社でも仕事を通じて色んな成長をしているんだろう。私はどうだ。
黙りこくった私の方を、彼女はちらりと見る。
「ごめんね。でも、私だって諦めたくないことはあるんだ」
小さくつぶやいた声はロードノイズに紛れて聞こえなかったけれど。きっと、私はこの車に何度も乗ることになるのだろう。
この作品の作者は ShinoguNさんでした!
予想結果: SuamaX, ShinoguN×3, Gokipo, Dr_Knotty
高速道路にはたまに死神が出る。ベタに車に乗っている。座席ではなくルーフの上に乗っている。
帰省で高速を使う度に観察しているが向こうはこちらに関心を向ける様子はない。一流の職人が窯に向ける眼差しで斜め下の運転手を見つめている。脚は軽く開き、大鎌の柄をバットの様に構えたそのポーズはいつでもどこでも、複数人(複数神?)で出た時も変わらない。アレで刈られた魂はきっときれいな放物線で雲を突き抜けるだろう。そして上から下へ再度貫通してビル街に吸い込まれていくと思う。その先は考えたくない。
この前空港に行ったときはある飛行機の上にズラリとバッターポーズのまま並んでいるのが見えた。珍しく街中で見かけたと思ったら向かっていった方面で飛び降りがあったらしい。世界の車窓からで見た電車の上でくつろいでいた連中はきっとその後隣の国であった大地震の為に駆り出されたということにしておこう。
病院内の食堂でたまたまラーメンをすすっていた死神になぜ自分は彼らが見えるか聞こうとしたらシカトされた。これは「死神が見える人間を認識できる死神」とかに会う必要があるのだろうか。幸い病院なだけあってやたらと死神が多い。なぜ病室でもないのに大鎌を既に構えているのかも聞くべきか、なんて思っている間にけたたましく火災報知器のベルが響いてきた。振り返ると食堂にいた奴がこちらを見ながら大鎌を天に向けてホームラン宣言である。今すぐイップスとかいうヤツになってほしい。
この作品の作者は Imerimoさんでした!
予想結果: Imerimo×3, KABOOM1103, hallwayman
Iという科学者がいた。優秀で目立った欠点もなく、そこそこの生活を過ごせていた。悩みがあるとすれば食が細く、いつか栄養失調など起こすのではないかということだった。
Oという科学者がいた。やはり優秀で人並みの幸福と共に生きていたが、不摂生はどうしても治らなかった。整った体型の人を見るたび、自分はどうしてここまでだらしがないのだとため息をついた。
二人が出会う機会があり、数度のうちに親しくなった。互いの悩みを打ち明けると、共に打開することを考え、身体を取り替えることを夢見た。方法は脳を取り出して互いの身体に埋め直すだけ。問題は手術があまりに複雑なことだった。そこで、二人は手順をまとめるために必要な検証を行っていった。
特に大変だったのは、味を伝える神経の調査だった。そこで、いろいろな味を食べて反応を調べる地道な作業が始まった。その過程で二人は料理が上手くなった。
手順がまとまると、プログラムを組んで自動手術の装置を作り、二人は点滴をつけて後を装置に任せた。
気がつくと、確かにそれぞれの身体に違和感があった。しかしOはあまり軽くなった気がせず、Iはしばらく動けなくなった。ようやく身体の自由が戻り、互いの姿を確認するとその理由が分かった。実験や手術の過程で両方ともかなり太ってしまっていた。
その後、二人は人体を交換する技術を開発したことでかなりの金を手にし、Oは以前より少し痩せたが、Iが体型を戻すにはしばらくかかった。サプリメントなど開発しようとしたが、運動する以外の方法は効果がなかった。二人は初めから食と運動を試さなかったことをしばらく後悔し続けたが、それ以降体型で悩むことはなくなった。
この作品の作者は ocamiさんでした!
予想結果: ocami×2, KABOOM1103×2, hallwayman
「おはようございます。今日も今日とて近所の公園。変わり映えのしない景色で申し訳ないですが、家の中は見せられたものではないのでね……さて、わたくし、実は花粉症持ちでして えぇっきし! ええ、このとおり……」
ボロアパートの前の小さな公園、そのベンチ。そこでは毎朝、知らないおじさんが太陽に向かって話しかけている。最初は騒音としか思っていなかったが、毎日内容が違うことに気づいて以来、私の毎朝の楽しみとなっていた。
「……おや?」
「初めまして、おはようございます。毎朝ここで何を?」
ちょっとした好奇心だった。聞いたところで何かする気などなかったし、何かがあるとも思っていない。しかし、おじさんの返答は、私の予想とは全く違った。
「読者の皆様とお話しをしていたんです」
「読者?」
「ええ、『お天道様が見ている』と言うでしょう? ほら、あなたにも見える筈です」
おじさんが指差した方向……太陽に目を向ける。
そこには確かに、巨大な目があった。
「うわぁっ⁉︎ あー、おはようございます。奇妙な夢を見ましてね。……太陽を見上げたら、巨大な目がこちらを見ていたんです。ああ、思い出すだけで恐ろしい。あ、今から着替えますので、しばしお待ちをば」
こうして話すのは初めてなのだが、意外と話せるものだ。我ながら少し感心し、パジャマのズボンに手をかけ……そのままの体勢で固まった。
ちょっと、そこのあなた。困りますよ。今から着替えなんですから。男だからって、恥ずかしがらないわけじゃないんですよ。……そうですか、意地でも見続けるというのならこちらにも考えがあります。あなたにこの先は、絶対に見せません。さようなら。
この作品の作者は R_IIV does not match any existing user nameさんでした!
予想結果: seda87ne, R_IIV×3, izhaya
口から溢れ出した液体が喉をなぞり、指の先から路地裏の影に溶けていった。薄汚れたパイプ塗れの壁に預けた手はずるりと落ちて、膝を小石に食い込ませた。無様さに吹き出した室外機の吐息が神経を少しだけ逆撫でる。胸ポケットから注射器が逃げ出した。不味いと伸ばした手の先で、影より黒く光る革靴に踏み潰された。
「あぁ、申し訳ない。踏んでしまいました」
行き止りの筈の路地の奥、そこから真摯の皮を被った声が降ってくる。聞きたくもない波長の方を仰ぎみれば、揺らりとガス灯が燃えている。
「わざとらしく謝るじゃないか。元より踏み潰すつもりだったというのに」
もう一つ、歯車の回る音を立てながら声が現れる。機械時計が此方を見ようともせずに、ただ手元の懐中時計を見つめている。
「この状況も問題ではありません。さっさと撤収して処分せねば」「貴方が抑制剤を彼に奪われること“以外”は、ね」
淡々と会話が続けられる。反吐が出る。異音に溢れる身体に鞭を打ち、内ポケットの拳銃にかけた手が、ごきり、と影から伸びだした骨組みだけの腕にへし折られた。ガス灯は両手をポケット突っ込み、街灯のように此方を見下ろしている。機械時計は秒針の音にご執心だ。ならば、私の腕を折ったのは?
そこでやっと、私は彼らの背中の闇から伸び上がる数本の腕に気がつき、確かな絶望が私の脳を焼き切った。
「…やっと事切れましたか。最近ではかなり耐えた方ではないでしょうか」「どうでもいいさ。道標に道が分からないはずもなく、時間からは逃げられない」
ガス灯と機械時計はそれだけ言葉を交し、そこのスクラップを骨腕が引っ掴んだのを一瞥して、後ろの闇に消えていった。
この作品の作者は KABOOM1103さんでした!
予想結果: seda87ne, Imerimo, KABOOM1103, Gokipo, meshiochislash×2
給湯室で、カップ麺にお湯を注ぐ。男はタイムカードを切るついでに、夜食を食べようとしていたのだ。6月下旬の長い日も男にとっては一瞬で、辺りはもうすっかり暗くなっている。
厚いガラス越しに雨の地を打つ音が籠もって聞こえてくる。窓についた雨粒はオフィスの光を反射し、エンドロールの逆再生のようだった。
男の人生とやらにエンドロールが流れるならば、それは長いか、短いか。どちらにしろ、元から少ないオーディエンスは帰っていることだけは分かる。随分と退屈で、停滞したシナリオ。筋書きはこうだ。男の周りには魅力的な人々、未知への挑戦、変身の機会が渦巻いている。しかし男はその全てを見落としていき気づいた頃には、そうだな、大学を出た頃だろうか、ようやく自分がつまらないことに気づくのだ。その後はなんとなく会社勤めになるが、男には同僚と上手くやる術も、上司に気に入られる術も、後輩に頼られる術もなく……結末は語る必要もあるまい。
下らない思案を振り払い、男はデスクに戻り、麺をすする。頼られない職務の割に多い残業が、彼の無能さを引き立てている。汁がシャツに飛び、湯気が眼鏡を曇らすが、窓際の男にとってはもうどうでもいいのだ。どうせオフィスには誰もいないのだから。
空いたカップに、雨の雫がぽとっと落ちる。使い込まれた社屋であるため、雨漏りが多い。男は一つ、ため息をついて項垂れる。いくら雨漏りが多くとも、この丈夫な建物は到底壊れやしない。しかし、全ての雨漏りを塞ぐだけの気力を男は持ち合わせていない。
この作品の作者は Gokipoさんでした!
予想結果: kihaku, ShinoguN×2, Gokipo, Dr_Knotty, k-cal
いつの日からかコーヒーに凝るようになっていた。
きっかけは大学生の頃。ふらっと入ったカフェで、初めてエチオピアの浅煎りを飲んだ時。弾けるような果実感のある香りと、トロッとした飲み口にこれ以上ない衝撃を受けた。これまでケーキや会話のお供でしかなかったコーヒーが、ここまで主役になる瞬間が来るとは思っていなかった。
以来、カフェで「スペシャルティ」や「シングルオリジン」の文字を見るたびに、通ぶってそれを頼むようになった。中には1杯1800円ほどのコーヒーを目当てに店に入ることもあった。
社会人になり、自分でもドリップの道具を揃え始めた。電気ポットは注ぎ口が細いもの。ドリッパーはハリオのV60。ミルは5000円ぐらいのものを使っていたが、ハンズの店頭で40000円の有名な機種を見かけて即決でそちらに切り替えた。豆もスペシャルティを定期便で買っている。
しかし、なかなか味が上がってこない。いくら器具を良くしても、ノウハウを仕入れても、あの日のエチオピアの味がどうしても出ないのだ。
私は改めてあの店のことを思い出す。確かあのエチオピアは、ブレンドとは別メニューで値段も800円ほどした。学生時代はドがつくほどのケチだったが、当時は何かの魔がさしていつもは頼まないような高いコーヒーに手を出してしまった。そして、注文した瞬間は若干の後悔があったのを覚えている。もしかして、あの味は一種のプラシーボだったのではないか?高い金を払ったからには美味しくあって欲しいという、願望が生み出した幻想なのではないか?
試しにコーヒーの横に「エチオピア 800円」と書いた紙を置いてみた。味は変わらなかった。
この作品の作者は izhayaさんでした!
予想結果: SuamaX, ocami, izhaya×2, k-cal
「配送禁止住所」
某アイドルグループの人気メンバーであったF.Tの姿が複数回、フリマアプリの商品画像に写り込んでいるとしてネットで話題になった件。
アプリのアカウント名は「大きなお友達」であり、これはサブカルチャーの文脈で「児童を対象とした嗜好物に夢中になる成年者」を意味していた。そのため、一人暮らしを公言していたF.Tは隠れて彼氏と同棲しているのでは、との憶測を呼んだ。
ネット上では騒動になったものの鎮静化は早く、またF.Tがほどなくして引退したため、事件は既に風化している。
F.Tの事務所はすぐに警察に届け出たと当時のマネージャーが述べている。
F.Tが都内の借り上げマンションで一人暮らししていたのは事実であり、映り込みが本物であれば未知の人物がその部屋に出入りしていたことになる。しかしマンションはオートロックであり、マンション内の複数のカメラにも不審者の存在は認められなかった。また、写真は商品を手で持った状態で撮影されており、その背景にF.Tが移りこんでいる為、気付かなかったとは考えづらかった。
撮影された物品は全て、F.Tが上京した際に実家に置いて来たものだった。実家からは商品と同様の物品が無くなっている事が確認されている。
アプリの履歴から、複数の物品が通常通り発送されており、宅配物の受付営業所はF.Tの住む部屋の直近のものだった。発送された商品に異常は無かったが、F.Tは受け取りを拒否している。
郵便局及び複数の宅配サービスのシステムでは、何故か紛れ込んだ受付記録の無い特定の住所宛ての荷物データを削除するバッチ処理が毎晩稼働している。その住所こそ、F.Tの現住所である。
この作品の作者は hallwaymanさんでした!
予想結果: hallwayman×3, Dr_Knotty
「正しい国の正しい王様が来るらしいよ。」
「正しい国と正しい王様?それってあれ、どこから来るんだっけ?」
「確か上の方からじゃないかな。」
「えーと、正しい国って別の星とかそんなんだっけ?」
「いや宇宙人とかそんなんじゃあないって。」
「ふーん、あ、正しい王様ってどんな人なんだろうね?男の人なのかな?」
「いや王様だからって男の人と決めつけるのはどうかと思うよ。実際に見ないと分からないじゃんか。正しい王様なんだし。」
「そうだね、偏見だったね。それで正しい国の正しい王様は何しにやって来るとかって聞いてる?」
「ちょっと待っててよ今調べるから。あ、何か私達の中から選ぶんだってさ。」
「何を?」
「誰が残るべきか、だってさ。」
「と言うと?」
「何か、今見ているのだと、まず最初に他人をいじめたりしない人だってよ?」
「それなら私達は全然オーケーじゃん。」
「次に鶏の唐揚げを一度も食べたことが無い人って書いてる。」
「あああ、ダメじゃんか私達。」
「私、基準はバラバラだけどもちょくちょく当てはまってるから選ばれんわ。」
「あなたが選ばれてんなら私はもっとヤバいじゃんか。そうだ、選ばれなかった人がどうなるとか書かれてる?」
「確か一番下のページに、あったあった。終わりにされるってさ。」
「何されるの?」
「これには一例だけだけど、『これまでの人生を罵倒された後に殴られて、自分の物と一緒に穴に埋めて燃やされる』んだってよ?」
「一番キツいじゃんそれ。部屋を片付けるよメンドいなぁ。しょうがないから文句は言えないけどさ。」
「まあ、一例だけだからもっと楽な方法になると思うよ?」
「あー嫌だぁ。取り敢えずもう帰るね。」
「ん、じゃあねー。」
この作品の作者は Dr_Knottyさんでした!
予想結果: SuamaX, Dr_Kudo, Dr_Knotty×3, k-cal
“先輩。手間をかけてごめんなさい。誰か一人くらいには知ってほしくて、最初に見つけてくれそうな人を考えたら先輩くらいしか思いつかなかったので、あなたに宛てます”
甘えるのも大概にしろ、が最初の感想だった。
“これは遺書で、自分は自殺。そうなるでしょうが、違う。自分は死んでない。遠くに行くだけです。まあ人から見れば同じ事なのでしょうが。それを同じと言えない事が、「社会性の欠落」で、あるいはこうなった理由なんでしょうね”
正式な遺書とは別の、走り書きの詰め込まれたメモの切れ端。それをわかりづらい──自分でもなければ気づかないような──場所に隠して、それっきり。
“ネットロアとかであるじゃないですか。異世界へ行く方法。手順だったり呪文だったり。本当に要るのは儀式じゃないんですよ。それを全部試すような人間なんです。見えない道に踏み出せるような”
寒々しいエレベータに乗り込んで、屋上のボタンを一度叩いた。
淡々と上昇。扉が開き、何もない屋上。ここから後輩は消えた。
一歩、空中へ踏み出して消失。死体はまだ、見つかっていない。
“どうも、自分はそれに成ってしまったらしく。何が起きるかは薄々察した上でこれです”
誰もいない屋上で、一人思い返す。見覚えのある筆跡で綴られた文章を、自分は全部覚えている。
“自業自得です。自分の事は探さないでください。それではお元気で”
自分が知っているのは一つだけ。あれは、後輩の文体ではなかったということ。読点の打ち方、言葉の選び、語順、全部違う。そして。
あれはそんな殊勝な後輩ではない。あれは本心ではない。あれは。
『最初に見つけてくれそうな人を考えたら先輩くらいしか思いつかなかったので』
甘えるのも大概にしろというのだ。
この作品の作者は meshiochislash does not match any existing user nameさんでした!
予想結果: meshiochislash×4, k-cal
11m先のボールを見つめる。県大会準決勝、0-0で迎えた後半ロスタイムに我らがキャプテンが与えてしまったPKを、責める者は誰もいなかった。──主将自身を除いて。
もちろん僕がこのPKを止めなくても、チームは誰も僕を責めないだろう。僕以外。
チームには責任が伴う。グラウンドに立った全てのメンバーに、未来を変える権利が与えられているから。
PKは、たまたまそれが僕の番なだけ。これを止められなくても、負けたのば僕のせいではない。点が取れなかった一年のエースは目を瞑って祈っている。空中戦で不利を背負ったファンタジスタは前線で待っている。退場したキャプテンは、それでもなおグラウンドから目を離さない。キャプテンマークと一緒に、僕の腕にチーム一つ分の熱源が託される。
笛が鳴る。思い出すのは何故か、数年分のトーナメント表と、僕等にゴールを入れられた、相手チームのキーパー達。
相手キッカーは走ってきた。その助走よりも前に、幾つものグラウンドを。踏み荒らしてきた土、砂、芝、対戦相手の数がこの瞬間に現れるのが、PKという読み合い。それを残酷なことだと思う余裕は、僕には既に無い。
右足、左足、そして右──飛んで、空中で、結果はもう知っている。優しく流し込まれたボールは、僕の反対に滑り込む。
チームには責任が伴う。20人立っているだけの、1対1の読み合いであっても、その過程が、願いが、結果が、PKを個人競技とは呼ばせない。それは、今までの僕等の責任の否定だ。
けれど──再度鳴る笛の後で、立ち上がれない仲間達の元に向かう時。
僕のせいで負けたと、本当はそう叫びたかった。
この作品の作者は k-calさんでした!
予想結果: EianSakashiba, Dr_Kudo, ShinoguN, Gokipo×2, izhaya
「あれを見な」
逃げ延びた丘の上。飯の用意をしていると先輩が何かに気づき、北の断崖を指さした。崖に近付いて下を見れば、大量のゾンビが立ったまま、一方を向いて体を揺らしている。その視線の先には、錆びた軽トラの荷台に座る、一体のゾンビ。
「なんすかあれ。あいつら、集団行動できる知能ないっすよね?」
「たまにあるんだ。宗教みたいに、一体のゾンビが司教になって信者が集まる。信仰ってのは、知能以前の野生みたいなもんらしい」
再び軽トラ上の司教に目を遣る。その瞬間、それは力みだし、尻から黒い液体を垂らした。
「え、うんこ漏らしましたよ。あれ信仰してるってまじですか?」
「一回信じたもんを、人間の野生は疑えねえ。気色悪いが、大切なことも教えてくれる」
先輩が狙撃銃を構える。破裂音が響き、司教ゾンビが荷台に倒れる。
「ちょ、そんなことしたら──え?」
司教は死んだ。だがゾンビたちは、変わらず揺れている。
「死体が死体になっただけだ。クソを漏らすより小さな変化、何も変わるわけがねえ。──ほらよ」
先輩は突然、俺に銃を差し出した。
「だから躊躇うなよ。ゾンビを囲むのはゾンビだけ。死体に囚われるやつは死体でしかねえ。だがお前は生きてる。そうだろ?」
初めて見る真剣な眼差し。俺は息を呑んで、銃を受け取る。先輩は満足げに笑い、噛まれた足を庇いつつ、崖際へと歩き出した。
「じゃあな!」
先輩が崖から落ちる。鈍い音。下を覗くと、先輩はもう動かなくなっていた。俺は、震える手で銃を構える。
先輩が立ち上がり、軽トラの方へ歩いていく。やがて彼は立ち止まり、体を揺らし始めた。
照準を合わせる。乾いた音が響く。存外、軽い引き金。
さようなら、死体。
B グループ
この作品の作者は roneatosuさんでした!
予想結果: Hoojiro_san×2, Hasuma_S×2, Fireflyer×2, teruteru_5×2
貴女の手を握ってから随分時間が経った。二時間か、三時間か。この年になると感覚がスープみたいに濁ってしまって、物事を把握するということも難しくなってしまった。寝台で重なる私と貴女の手はしわだらけでざらざらしている。昔感じたすっとした心地はないが、あの温もりが続いているだけで十分過ぎた。
貴女の顔を見ても眠っているのか、起きて黙っているのかも上手く判断できない。髪色も瞳の形も身長も同じだった私たちは、周りが見れば何が違うのかも分からないだろう。年月と共に私たちはますます似て、目に見えないようなものも同じになっていった。だが、私の考えは物心ついたころから周りと違った。貴女は臆病な私よりもずっと素敵で愛らしい。芯があるのにふんわりして温かい。今でもそれは不変だ。
「あ……」
急に貴女が何か言おうとしたのを見て身を乗り出す。貴女が私を見た。
無言が続いた。もしかしたら私のことをまた妻と勘違いしているのかも知れない。何も言えなかった。
「……姉さ」
ズキン、とした感覚が一瞬胸を走る。
「姉さん……来てくれないかな」
「ここにいるよ、ルーシー」
考えるよりも先に言葉が出た。ルーシーの驚いた顔が私をじっと見る。私ははにかみルーシーを抱きしめた。ルーシーも私も泣いていた。何もかもが遅すぎた。
あの日、私がルーシーが頼んだ場所に来ていたら、貴女に妻はおらずどこか遠い場所で私と二人っきりで暮らしていたかもしれない。ここから離れるだけの蓄えはあった。誘いに乗れなかったのは、私がどこまでも臆病者だったからだ。
長い間泣いて温度も震えも曖昧になっていった。何も感じない、貴女以外には。
この作品の作者は Kuronohanahanaさんでした!
予想結果: Kuronohanahana×2, kyougoku08, Hoojiro_san, Hasuma_S, 2MeterScale×2, souyamisaki014
5月末のことだった。私は、薄暮の創始者に導かれた。6月の頭、私は起床し、その末には食事にありついた。
7月、祈りを捧げた。
8月、火を焚べた。
9月、始まりの答えを探した。
10月、映画を観た。
11月、変身を夢見た。
12月、黄昏を眺めた。
1月、流れに身を任せた。
2月、停滞からの前進を望んだ。
3月、辺りはもうすっかり暗かった。
4月。
私は、私を探した。
夜は星に祈りながら火を囲んで、私の答えを探した。私は見つからなかった。
青春モノの映画を観て、登場キャラクターのような変身を夢見た。死神に殺されてでも、私ではない何かになりたかった。
窓から黄昏を眺めながら、短い歌を口ずさんだ。このまま流れに身を任せてみてもよいのかと思った。私はそこで停滞していた。
ようやく前進を望んだ頃、辺りはもうすっかり暗くなっていて。煙草の煙を吐きながら、私は、未だに私を探し続けている。
私を私たらしめるモノが何なのかを、私は知らない。
他人を他人たらしめるモノでさえ、私にはわからない。
原稿用紙2枚分にも満たない文章の向こう側を、私には読み解けない。
薄暮の創始者に導かれるまま、私は私を探し続けている。他人を探し続けている。他人に探し続けられている。
薄暮の創始者よ。貴方が私を導いた頃。あの頃から私は、何か変わったでしょうか。周りは変わって行きました。貴方も変わって行きました。全てが変わって行きました。
薄暮の創始者よ。
私は、私であれたでしょうか。
この作品の作者は rokurouruさんでした!
予想結果: rokurouru×4, v vetman×3, 1NAR1
幽霊を殴り飛ばす為に必要とする装備は意外と少ない。専用の数珠、それと適当な呪符が数枚さえあれば最低限攻撃は可能だ。"この装備で勝てるかどうか"はこの際思考の外側に追いやる事にする。
深夜、路地裏に1人。腰に引っ下げた数珠を構え、祓魔の文言を詠唱。胸ポケットから取り出した呪符数枚を己の右拳に巻き付けた。ネクタイを緩めて腕を捲り、腕時計に仕込んだ指向性ジェット装置の出力メモリを最大に設定する。
目標確認。50m程先にゆらりと浮かぶ幽霊は、確実に俺の痕跡を追ってきている。呪符の効果発動。詠唱に問題無し。ついでに一回の深呼吸。
路地裏から飛び出した。
「よぉ!元気そうだなァ!!」
───飛んできた電柱をスライディングで躱し、勢いを殺さずに走りへと移行する。呪符が数枚剥がれたが問題無し。遮蔽にしたガードレールを飛び越えて植木鉢をキャッチし、剥がれた呪符を貼って投げつけた。ジェット加速が乗った投擲。怯ませられればそれで良い。
隙を縫って歩道橋を駆け上がる。現在位置は奴の真上。互いの姿を視認できない構図。次の瞬間、ベルトに仕込んだワイヤを手摺に引っ掛けて飛び降りた。振り子の如き飛び蹴りが、幽霊野郎の顔面に突き刺さる。
着地。地面を転がる幽霊を全速力で追う。宙を舞うポストは俺の残像を捉えている。コンマ一秒前に俺がいた座標へ信号機が突き刺さる。距離0.8m。フェイント。瞬発力。その全てをフル活用して掴んだ、数秒だけの至近距離。真正面から飛んでくる街灯の一閃を回転の要領で躱しつつ、勢いを乗せた渾身の一撃を、今。
裏拳。
この一撃は、入る。
この作品の作者は kyougoku08さんでした!
予想結果: roneatosu, kyougoku08, solvex×3, ShicolorkiNaN×2, AAA9879
【一人暮らし袋ラーメンの作り方】
【材料】【1人分】
・サッポロ一番塩らーめん (みそでも可) 1袋
・野菜 (ネギや白菜など) 適量
・ごま油 適当
・ショウガ (チューブでも可) 適量
・コショウ 適量
・卵 1個
・お湯 適量
①野菜を適当に切ります。包丁がない時は手で千切れば大丈夫です
②水を鍋に入れてお湯を沸かします。量は少し足りないかな程度で十分です
このとき、煮えにくい野菜は水の段階から入れます
ごま油とショウガは野菜を入れるタイミングで入れます
③水が沸騰したら野菜を入れ、野菜がしんなりするまで煮込みます
この際、コショウをふりかけます。父からもらった唯一の教えです
④麺を入れ、3分煮込みます。(固めの麺が好きな人は箸で割れるくらいになれば十分です)
⑤溶いた卵を入れ、火を消して蓋を閉じます
⑥完成です。お好みでネギや叉焼、ごま油をかけましょう
【コメント】
袋ラーメンはお好みの具を入れることで美味しさが二割増しになります。
普段料理をしない人でも、コンビニのカット野菜を放り込むだけで十分です。
なんとなく得した気分になれます。
私の父も料理はできない人でした。父との昼食はいつもこれでした。
もう二度と一緒に食卓を囲むことはありませんが。
とても美味しく感じます。無性に食べたくなる時があります。
どうしても健康が偏りがちになる一人暮らし、是非試してみてください!
この作品の作者は Hoojiro_sanさんでした!
予想結果: roneatosu×2, Hoojiro_san×4, Fireflyer
無数の大型ビジョンから情報が氾濫し、眩いネオンでも照らせぬ闇に人と魔が蠢く無法都市。
O/O(アウターオーサカ)では国や法からも拒絶された無法者が何も縛られず欲望の赴くままに生きている。
「今回の解体屋(レッカー)は外れだな、安かろう悪かろうだが無理に解体(バラ)そうとするんじゃねーよ」
悪態を溢しつつ機械を弄る手は止まらない。プロメテウス研究所や東弊重工、アンダーソン・ロボティクスにファクトリーまでパラテクのジャンク品の山に埋もれる伏魔殿が男にとっての安息の地であった。
そんな汚部屋でも一際目立つ尋常ならざる霊気を放霊するメインフレーム。全魔導式霊脈制御装置(FATLLC)の生体CPUに使用されているサイバーエルフ、文字通り電脳の檻に閉じ込められた妖精こそ彼のお目当てだった。制御盤の画面に映る、御伽話から出て来た様な眠れる美女の素顔が伏魔殿の不気味さをより一層強調している。
サイバーエルフへの干渉に手間取り漏れる溜息。その時ふと脳裏に蘇る上司の言葉。「倫理さえなければ、壊れた体は直せる」「諦めなければ、直せない体など無い」。数十億円横領してO/Oに亡命するキッカケとなった企業に思い入れは無いが、面倒を見てくれた上司の言葉が燃料の切れた心にエンジンを掛ける。
「よし。次は非接触型タブレットを使ってプログラムの方から攻めてみるか」
O/Oの長い夜は始まったばかり。狂人の試行錯誤は尚も続いていく。
この作品の作者は Hasuma_Sさんでした!
予想結果: kyougoku08×2, Hasuma_S×2, 1NAR1×3, eagle-yuki
春は過ぎ、桜は散る。その終わりを迎えるための戦いが始まる。栄光を得られるものはただ一人。仁川の坂を一番に越えたものだけだ。
青々とした芝の上。二十秒のファンファーレが鳴り、横一列に並んだ十七人が一斉に大地を蹴る。風を切る音、地を抉る足音、己の心臓を燃やす呼吸の音。勝利を掴むために、全神経を走ることに注ぎ込む。誰もが自らの足に滾る思いを乗せた。
アタシはいつだって先頭だ。スタートで飛び出して、誰よりも速くコーナーを回る。そして、誰も追いつけないほど離してゴールに突っ込む。エンジンが燃え尽きようが関係ない。世界を制したアタシの完璧な作戦だ。でも、今日は何かが違った。アイツがアタシの先頭を奪おうとした。ふざけるな。夢中で奪い返す。そこから更に加速する。アイツをアタシから離すために。でも、アイツはついてきた。走れども走れども距離は開かない。遂に迎えた四つ目のコーナー。アイツはアタシに並び、そして過ぎ去った。アタシは吠え、尽き掛けのエンジンを再点火した。
彼女がそうするのはわかっていた。だから、私は先頭を奪う素振りを見せた。「行かないなら私が行く」と。そして、前を奪った青服の後ろをキープする。足を緩めればいつでも抜かせると煽るために。これを追わなければ後ろに勝ちは無いと示すために。稀代の大逃げに導かれ、私たちは限界を越えて走る。それでも、私には余裕だった。最後の直線で彼女から先頭を奪い、更に加速していく。私を捉えるため、長距離の戦友が、不屈の女帝が、屈指の末脚が駆ける。しかし、誰も私に届かない。差が詰まらない。このレースの主役は私だ。歓声が響く。二分九秒七、レコード。私が"記録の保持者"だ。
この作品の作者は Fireflyerさんでした!
予想結果: roneatosu×2, Hoojiro_san, Fireflyer×2, v vetman, ShicolorkiNaN
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「魂の色を見せろ」「戦え」
どうも、私/僕/俺です。突然ですが、この言葉は届いていますか?
「批評というナイフで刺せ」「気概が足りていないような気がします」
ああ、ごめんなさい。心の叫びって言うのは止められないみたいで。
「NVよりのDVですかねぇ」「面白くなかったです」
いや、どちらかと言えば愛の鞭なんですよ。色んな言葉が貴方を刺す。ただ、それでも苦しいですよね。
「粗削りな印象ですね」「クリシェだと思いました」
私のエゴですよね。わかっています。でも、これだけはどうしてもあなたに伝えたくて。
「嫌いではないです」「アイデアはいいと思いますよ」
貴方は理解していました。その言葉は作品に向けたものであって、あなた自身に向けたものではないことを。
「作品への愛が足りないと思います」「磨けば光るんじゃないんでしょうか?」
でもそれが耐えられなかった。ああ、やはり人間を苦しめ続けているのは善意なのかもしれません。
「文章は丁寧ですね」「雰囲気はいいと思います」
だから、私の前を去ってしまった。私に追わせてくれなかった。
「UVを押すかもしれないです」「文字数が欲しかったです」
引き留めるつもりはないんです。ただ、これだけは、言わせて欲しい。
「 本当に、お疲れ様でした」
[[/=]]
この作品の作者は v vetmanさんでした!
予想結果: rokurouru, Hasuma_S, v vetman×4, AAA9879, eagle-yuki
「顔なんぞを彫り込む必要があるのか」
コーヒー片手にラーカーンは首をかしげる。昔に比べればずいぶん達者な米国流英語に矯正されていた。
「顔とか拝むの御法度だったね」
「らしいな」
「らしいなじゃないよムジャヒディンでしょ君」
「海を渡った先なら唯一神も見てはいまいと酒の栓を外すくらいには緩い宗派だ。原理主義から外れたイスラームというのは日本の現代仏教並みに弛んでいて生き易い」
僕は無宗教だと返せば「だからこそテロリスト足り得る」とでも返されるのだろう。申し訳程度に笑って彫刻刀を片付けた。
「顔は大切だよ。強化服が生中継で報道されるのを考えても頭部ユニットがこんなノッペラボウなのは良くない」
「ならイスラムテロ組織らしく適当なジンの顔でも彫り込めばいいだろうに。何だこの死体じみた笑顔は」
「今のでウチらの仏様からは完全に見放されたな」
「知ったことか。何故顔なんだ」
アルカイックスマイル。口元にのみ笑みを浮かべた強化服の顔面保護フレームを片手になぞる。鼻の高さはアジア人じみているが彫の深さに関しては中東系のそれっぽく出来上がってしまった。我ながら人種不明感が半端ではない。
振り向いて笑った。
「悪役が笑えば誰も笑えなくなるだろ」
満面の笑みで答えたつもりが案の定眼だけは笑えていなかったらしい。ラーカーンに真顔でドン引かれた。散々殺しておいてお前にだけ常識人ぶられても困るからさっさと笑ってほしいところだ。
日本時間の深夜2時。コテージ内に直立した2機の強化服は僅かな光源と僕らを見下し微笑んでいた。作戦決行まであと6時間。滞りは無い。
この作品の作者は teruteru_5さんでした!
予想結果: Kuronohanahana, teruteru_5×5, eagle-yuki
「なあ、今回のテストどうだった?」
ラウンジの一角にて。隣の席に座った制服姿の友人が言葉を投げかける。その言葉を受け取った僕は、少し考える素振りをしながら答えた。
「そうだなあ……まあまあかな」
「そっか……俺は最悪だよ」
「そりゃ一体どうして」
僕が問いかける。友人は眠そうな目を擦りながら答えた。
「テスト中に寝落ちちゃったんだよ。昨日徹夜でさあ」
「なんでテスト前日に徹夜するんだよ」
「いやー、ゲームにのめり込んじゃって」
「馬鹿じゃん。せめて勉強しろよ」
呑気そうに答える友人に対して、僕がツッコミを入れる。それに対して友人は真剣なトーンで応えた。
「その通りなんだよなあ。マジで後悔してる」
「来年は受験だからな、マジで勉強しないと終わるぞ」
「そうだなあ、受験かあ」
沈黙が流れる。チクタクという、時計の動く音だけが聞こえる。この静かさに窮屈さを覚えた僕は、彼に問いを投げかけた。
「お前上京するんだっけ?」
「まあ……そうだな。進学先東京だし」
「そっかあ……ちょっとつらいな」
「どうしてだよ」
僕の放った言葉に対して、友人が疑問をぶつけてくる。僕はその疑問を受け止めて、彼に言葉を返した。
「お前と馬鹿話して笑い合うことができないのがさ、無性につらいんだ」
友人が缶ジュースを開ける。プシュッという開栓の音が鳴る。ジュースを飲みながら、友人は口を開いた。
「……そっか。それもそうだな」
その後は、どちらも口を開くことなく時間が過ぎていった。しばらくして、休み時間終了のチャイムが鳴る。椅子から立ち上がった僕の目に、窓の外の景色が映る。
雲ひとつない快晴だった。
この作品の作者は 2MeterScaleさんでした!
予想結果: 2MeterScale×6, solvex, AAA9879
地球は、常に宇宙という夜のとばりに包まれている。西暦3996年。太陽系第三惑星を周回するコロニーΣ9。そのもっとも見晴らしの良い居室で、ジャック・ブライトは覚醒する。懐かしい夢の残滓がこぼれ落ちた。昔のことは、もう色あせてしまっている。このコロニーΣ9には、危険な異常物など収容されていない。顔を濯ぐ。
何年か前にアメリカと呼ばれていた地に行った調査隊が帰還するらしい。隊が寄越した定期連絡によると、あの老人は行方不明となり、死亡したそうだ。彼に込められていたブライトの記憶も、おぼろげながら流れ込む。痛い、苦しい。日の出を見たい。すべてを記憶しなければならない。ブライトは解放を望んでいた。宇宙には夜明けが永遠にやってこないように、彼には解放が永遠にやってこないのだ。
「エイデン・アダムズだね」
しばらくぶりにアダムズが彼の居室の門をたたく。その音は、何年か前と奇妙なほどに一致していた。アダムズの声は、やはりブライトのそれと比べると若々しいものであった。
「はい、地球から何かが護送されるようで」
「調査隊の帰還に合わせてかね」
アダムズは首肯する。ブライトはその情報に一片たりとも関心を示していない様子だった。今の彼には、調査隊にブライトの複製が紛れていたことは、外には一切漏れていない。マグカップから朝食後のコーヒーを飲めば、彼のものではない脳がうなりを上げる。
「実際、死なないというのは、どうなんでしょうか」
「私に私は関係ない」
何度もした質問だ。そのたびにゼンモンドーめいた訳の分からない問答を、アダムズは楽しんでいる節さえある。
「二週間もしたら到着するでしょう」
恭しい足取りで、アダムズはブライトの居室を出た。
この作品の作者は 1NAR1さんでした!
予想結果: roneatosu×2, Kuronohanahana, kyougoku08, Hasuma_S, Fireflyer, 1NAR1×2
大学をドロップアウトすると決めてから半年。黒魔術の儀式じみた軋轢の日々は、あれほどまでに私を心酔させた音楽を容易く負債に変え果てた。バンドの連中は思ったよりも簡単に去り行く私へ石を投げたし、私の中指も呼吸をするのと同じくらい少ない熱量で天を向いた。不可逆な数個の文章が、まるであらかじめ用意していたかのように声帯から再生される。さようなら、ありがとう、ファック・ユウ。好意的に意訳すると、概ねそんな内容だった。
家具を撤収した自室はあまりに小奇麗だった。3年にも満たない居住時間は返ってくる敷金を減らすにも値しないらしい。下らない。引越し屋を見送りつつ何か小言を話し続ける父親の肩を小突く。罰当たりだ。分かっている。父は見たことの無い顔で実家へ帰って行った。
何もかも嫌になってしまってフローリングに直接寝転がっていると、ポストに何か投函される音が聞こえた。急いでドアを開けたが郵便屋の姿は見えず、八つ当たり相手を失して落胆する。郵便物を検めると、百円均一のCDロムに、プリンタで印刷したメンバーの写真が差し込まれている。学祭で販売した私たちのCDだった。
カバーを開く。CDの盤面に、私を除く3人分の油性ペンの筆跡。さようなら、ありがとう、ファック・ユウ。好意的に意訳すると、概ねそんな内容だった。
壁に立てかけられていたギターを手に取る。半年に渡った黒魔術の時間は、しかし私から音楽を奪い去ってはくれなかった。生音のエレキギターは懸命に6畳間に音を響かせ、掠れ気味の声がそれを追いかけた。
貴方の声でバンドが出来て良かった。そんな言葉を思い出す。ギターの1弦が弾け、小指を浅く、鋭く裂いた。
この作品の作者は solvexさんでした!
予想結果: solvex×4, ShicolorkiNaN, AAA9879, eagle-yuki
「悟空てめえ人がいる川上で小便すんなって何度言ったら分かるんだ!こっちは水浴びしてんだよしょんべん浴びじゃねえんだよ!」
「良かったじゃねーか、皿が涸れる前に満たしてやったんだよ。ありがたく思え河童野郎。」
「お前ホントにバカだな!あーそうだよなー分かるわけねーよなーウッキッキしてるやつにさー。」
「あ?皿割んぞ。」
「やってみろよボケ猿がよー。」
「二人ともいい加減にして!お師匠様泣きそうだから!」
「いいのです八戒……悟空とは距離はありました……私達のもとへ悟空のは届いていません……」
「そんな憔悴して言われても納得出来ないですって!こういうのは気持ちの問題ですから!」
「そう!気持ちの問題なんだよクソ猿、自分がされたら嫌だなあとか分かんないかねえ猿には無理かなぁ?」
「あー分かった分かったおい喧嘩だ喧嘩、喧嘩しようぜお前が死ぬまでな。」
「逆だろ逆お前が死ぬまでだよOK?」
「だからいい加減にしてって!」
「いい加減もクソもあるか!たかだかしょんべんの1滴2滴でこいつはグチグチ飽きもしねえで参ってんだこっちは!分かんねえなら豚は黙ってろってこったよ。」
「あーそういうこと言うんだ、いいよ悟浄僕が間違ってた。こいつ丸焼きにして食べよう。腐っても強い妖怪だし役には立つよ。」
「焼くまでなら賛成だが食べたかないな。猿はなんの病気持ってるか想像もつかない。」
「じゃあ河童はなんの病気持ってんのか俺が直々に確かめてやろうかああ?!」
「いいえ……焼く必要はありません。今必要なのは……これです!」
「あっ痛たたたたたたたたたたたたっ!!!!バカやめてくれ締めるな締めるな悪かったって痛たたたたたたたたっ!!!!」
この作品の作者は ShicolorkiNaNさんでした!
予想結果: Kuronohanahana×2, kyougoku08×2, Fireflyer, ShicolorkiNaN, AAA9879
「――大丈夫?」
どうやら、木陰に寝かされていたらしい。
草木の匂いと程よい風が吹き抜けていて、出来るのならばもう少しだけ微睡んでいたい気分。
薄く目を開いてみると見覚えのない自然に包まれた空間と、黒々とした影を落とす木々。
「……え?」
「ああ、良かった。倒れていたからまさかと思ってたけど……」
俺の目の前に立っていたのは、歴史の教科書で見た覚えがあるような服を纏っていて、人間ではない姿をしていた。
手足も人間と同じく二本ずつ存在しているけど、ホッとした表情を浮かべる顔立ちは、人間の顔ではなく動物のそれだった。
人間の身体に動物の頭がくっ付いている様に見えて、表情だって分かるぐらいに変わる顔立ちは瞳孔の裂けた瞳で俺の身体を見ている。
しきりに動く眼球にまばたきだってしているし、質感からして作り物や着ぐるみの類では断じてないのが分かる。
「あの、あなたは……」
差し出された指も太く体毛に包まれていて、指先には肉球と思わしき膨らみだってあった。
どんな感触がするんだろうかと思っちゃうけどそれどころじゃない。
木陰に寝かされていた身体を起こすと、尻尾だって見える。ちょっと触ってみたいって気もあったが。
気が付いたらここに倒れていたらしい俺。
最後に覚えているのは家への帰り道、後ろから聞こえて来た異常な音のクラクションと何かが突っ込んで来る音。
目の前には、獣人。
「いや、ここって……あの、どこなんですか?」
「そこまで分からないなんて……此処はね」
手癖で書いたらここまでが文字数の限界でした
介抱していた獣人の種族と性別と筋肉量と身長と体型と年齢と職業は私の胸にしまっときます
この作品の作者は AAA9879さんでした!
予想結果: rokurouru, kyougoku08×2, ShicolorkiNaN×2, AAA9879×3
ロケット・レースを立ち上げた宇宙で最も偉大な男“マグマ・ドライブ”が死んだ。
だから俺たちレーサーは最大最高の追悼レースを開催し、こうして小惑星帯を秒速30kmで飛んでいる。
そして俺は先頭だ。
5秒前に補助AIから忠告されたように、目前に致命的な大きさのデブリが迫る。左手に持つレバーを引きこみ、右足のペダルを緩めつつ右手でいくつかのスイッチを素早く押し込む。機体が速度を保ちながら緩やかに回転する。同時に左足のペダルを3回素早く踏み込む。視界の端で姿勢調整スラスターが明滅し、デブリを直前で跳ねるように避ける。
『流石。ゴールデン・バニー号の名は飾りではありませんね。ぶっちぎりです。』
モニター内で補助AI、胸が豊かで官能的な身体を持つ銀髪のバニーガール“シルバー・バニー”が跳ねている。アバターは俺の趣味。
「黙ってろシルバー」
確かにこのゴールデン・バニー号は類まれな俺のテクニックで先頭を独走している。だが後続の彼らは決して諦めない。後部カメラに目をやる。
エクスカリバー号の核パルスエンジンが青く明滅する。J.E.T.ブレイク号がオーバーロードで赤く染まる。フジヤマ号は禁忌の爆発推進で黒煙に包まれる。後続179機全機が覚悟を決めてぐんぐんと迫り来る。
俺たちは決して諦めない。宇宙空間に放り出された俺を救うために生身で飛び出したマグマ・ドライブのように。
「ネヴァー・ギブ・アップ!」
神に頼らなかった偉大な男の遺言を口にして燃料バルブを全開にし、両足を思い切り踏み込む。ゴールデン・バニー号は一条の黄金の光となり、残る179機もそれに続く。暗黒の宇宙を駆け抜ける光の束は、どこまで届くだろうか!
この作品の作者は eagle-yukiさんでした!
予想結果: Kuronohanahana, rokurouru, Hasuma_S, 1NAR1×2, eagle-yuki×3
初飲酒の感想は、「ああ、こんなものか」。
缶ジュースの方が安くておいしいな。でも、「酔う」って感覚は嫌いじゃないかも。
一つ、腐った大人に近づいた証。それでいい。平平凡凡で陰鬱なこれまでの自分を置いていく、その一歩となれば。
……なんて位にしか、思ってなかったんだけどね。
動悸が止まない。私のベースは、日和った鳴声ばかり漏らす。なんでだよ。今までと真逆の生き方をしてやろうって、とんでもない四苦八苦を乗りこなして、初ライブまで漕ぎつけたのに。
人の目から逃れるように、箱の中から駆け出した。身体は酸素を取り込むことに夢中で、枯れた喉が悲鳴を上げる。本番までそう時間はない。こんなんじゃロクに歌えやしない。コンビニに救いを求める。
100円しない水を手に取ってレジに向かう。途中、水とは違う透明な液体が目に付いた。瓶に入ったそれは、普段は大して購買欲を刺激しないもので。なのに、その時ばかりはどうしようもなく魅力的に映って。
気付けば私は、舞台裏で酒を流し込んでいた。
ステージに立つ。動悸は続いているけれど、きっとこれは高揚とアルコールのせい。驚愕。苦笑。ドラムとギターのそんな視線がむず痒い。でもそれを音に出さない辺りは流石だね。私も負けじと、四の線を弾き飛ばす。
可笑しなMC、不敵な笑み。それらは酩酊が創り上げた虚像。あっちがそっちでこっちがどっちだ。観客は、嘘を塗りたくった私を食らっている。
それでも、私が放つこの音だけは本物だ。それさえ届けば、構わない。
……そんな成功体験のせいかな。もうお酒は手放せないや。でも、うん、これでいい。何だって使ってやるさ。私が輝ける、サイコーの人生を送れるなら。
この作品の作者は souyamisaki014さんでした!
予想結果: Kuronohanahana, souyamisaki014×7
私信
4/29 5/1 5/6 強引に空けようと思えば4/30、5/5も
順位をつけるなら①5/1 ②5/6 ③4/29
C グループ
この作品の作者は kskhornさんでした!
予想結果: kskhorn×2, Enho_Osho×2, Azalea-000, stengan774, Ruka_Naruse, nekokuro
午前2時。ワンルームの狭いベランダをしとりしとりと雨が叩く。
その向こうで、盛りの桜は恨めし気に水滴とともに散っていた。
と、思う刹那壁の向こうからゴンという鈍い音が響く。
クソ野郎、俺の部屋だぞ、近所付き合いのこと考えてくれ。
『あーあ。隣のヒト、怒っちゃったね?
ダメでしょ?夜遅いんだから静かにしないと。
もうみんな寝てる時間だよ、分かってるの?』
誰のせいだと
「……お゙ほぉっ…!!」
腹の中に巨大な熱が『いる』。ゴリッとその熱が奥へとかき分ける度に、嫌になるほど反応してしまう。
「や、だぁ……だめ、だから」
こんな声が自分から出るなんて、少し前の自分でも知らなかった。
『ダメ?ダメなのは貴方じゃないの?
こんな時間に大声出して。男なら我慢できるでしょ?
良い子になるって昨日言ったもんね?我慢できるもんね?』
馬鹿野郎、ゆるして、理不尽すぎる、お願い。
拒絶と屈従が混ざって、滅茶苦茶な言葉が出てくる。
たすけて、たすけて、やだぁと声を上げる度に、脳が蕩けていくのが分かる。
『あれ、やだって言った?や、なの?いやいやするの?
……ふーん。じゃ、やめよっか。やなこと、したくないもんね?
僕もやなこと、したいわけじゃないからね。やめよっか』
ゆるゆると熱が抜けていく。
あ、あ、と息の抜けるような声が出る。
どうしよう。どうしよう。無くなってく。無くなっちゃう。
『はい、おしまい。やなことしちゃったね?ごめんね?
もう、やなことしないからね。良かったね。
……どうしたの、泣きそうな顔して。こわかった?』
やだ、やじゃない、やだ、やだ。
多分、雨が上がるまで。夜が明けるまで。この熱に勝てない。
そうして目を見つめながら、そっと脚を広げた。
この作品の作者は Enho_Oshoさんでした!
予想結果: Enho_Osho, Azalea-000, tateito×2, santou, Nununu
先日スターバックスから新作が発売されましてね。
『The メロン of メロン フラペチーノ』だなんて大層な名前が付いとるのですが、これまた濃厚なメロンを頬張っているような甘味が感じられて非常に美味しいわけです。
いやだねえ、あたしだってフラペチーノを頼みますよ。
「ニンニクマシマシヤサイマシアブラカラメ」だなんて言って。
そりゃあ昔は近所の喫茶店でブラックしか飲まない爺だったんですがね。
あるとき孫に初めて連れられて行ったスターバックスでフラペチーノと出会ってからは、新作が出る度に頼んどるんですわ。
メロンは4月になると九州の方から収穫が開始するそうで、そういった旬のものを取り入れるというのはとても風情が感じられて良いですね。
先々月に桜味のフラペチーノが発売されたんですがね、ちいと桜の季節には早いのではなかろうかと思ったわけです。
調べてみますとね、どうやら最近は3月中旬にはもう桜が開花しているらしいんです。
それにしても2月はまだ早いわけですがまあそこは置いておきましょう。
最近起きたことはめっきり覚えておらんのですがね、昔のことはよう覚えとりまして。
4月20日がおっかさんの誕生日でしてね、小さい頃よく拾った桜をプレゼントしていた記憶がございます。
こんな萎れた姿で「おっかさん、これあげる」って言っていたわけではありませんよ。
あたしにも舌足らずで可愛らしい時期もあったんですからね。
まあ今でも十分そうですけれども。
どれだけ咲く時期が早くなろうが、変わらず春と言えば桜が思い起こされるわけでして。
『銭湯で 上野の花の 噂かな』なんて申しますが──
この作品の作者は usubaorigekiさんでした!
予想結果: Enho_Osho, usubaorigeki×2, R-00X×2, Nununu
勇気を持って、一歩踏み出そう。
どこで聞いた言葉だったか。誰でも言えそうな何の面白味の無い、熱く誠実な言葉。自分の人生において、心に残っていた言葉だった。
おかげで、ある程度まともに楽しく生きてこれたと思う。
孤立しているってのに、二人組を作らなきゃ行けない時。踏み出したら輪に入れてくれた。昼休み3年間、皆に見向きもされぬまま、一人弁当を食うものと思っていたのに。
これは良いと思った。大人になっても続けようと思った。
人の仕事を勘定に入れず、定例会議で心の授業をしてくれる上司に殺されかけた時。踏み出して告発したら、自信と経験を手に入れた。この先何十年、使い潰され利用されるものだと思っていたのに。
自分の事をラジコンだと思ってる親に尊厳を踏みにじられた時。踏み出してぶつかったら自由をくれた。この先死ぬまで、役に立つか立たないかで扱われるものと思っていたのに。
これで結婚もした。一歩踏み出してプロポーズしたから成功したのだと確信した。
これは良いことなのだ。やるべきだと思ったのなら、やってみる。どう、心のブレーキを壊していくかなのだ。
ある日、中学生になった娘をふと見ていたら、やりたくなった。やってみたいのだから、躊躇は無かった。
そして、それは良くなかった。頑張ってマトモを維持していたのに、もう元に戻らない。そう思った時、思い出した。あの時、皆と仲良くしたかったわけじゃないし、あの上司や親の元で生きていた方が、言い訳が出来て何も考えなくてよくて楽だった。でも、自分で手放した。
一歩踏み出すのに、必要なのは勇気じゃなかった。
一瞬の錯乱だった。
この作品の作者は R-00Xさんでした!
予想結果: R-00X, Jiraku_Mogana, pope3pape, tateito, nekokuro, Nununu
まずはお題について触れておく。
「お題って、自分の文体ってやつ?」
ああ、会話で一区切りするのは良く使う手だったな。700字では、独白めいた一人称形式に始終する事の方が多かったかもしれないけど。ともかく、堪え性の無い自分は、最初の一文でお題を消化してしまう事がよくあった。そして、続けて特殊な世界観 この文なら、メタフィクション的試みだ をぶつける事で、ファーストインプレッションを印象付けようとするのだ。
そして、大抵このくらい書き出した所で執筆は停滞する。書いては消し、行っては戻り、積み上げては崩し去る。詰まらない文章に行き詰まる 確かに反復表現は好きだが、執筆作業まで反復することは無いだろうに。
ああ、普段ならこのあたりでオチなのに。700字というのは帯に短し襷に長しという塩梅で、大抵の場合書きたいだけの展開がまるで収まってくれないか、書けるだけ書いたら400字ちょっとという事になりがちなのだ。今回は後者だろう。
「あ、すっかり書き忘れちゃって」
文冒頭ぶりに話しかけてくる言葉が聞こえる。
「いつするの、お題に普段どう向き合っているかって話」
本当だ、と自分は惚けてしまった。自分は、あまりお題に対して捻くれて向き合う事はない。特に、言葉遊びしようという事はほぼしないと言っていい筈だ。なんだかんだ、お題には真正面から向き合った上で、幾らか捻くれた場所へ着地してしまうのが面白いのだと、自分は信じている。
「今回はどう着地しようって?」
「罫線には-- --を使うとか、まだ話したい事もあるけど 」
最後の一言を地の文で区切って強調して、
「文字数が足りなく
この作品の作者は Jiraku_Moganaさんでした!
予想結果: kskhorn, Jiraku_Mogana×5, tateito
「さて、今夜私が頂くのは、あなたの命です」
闇夜を切り裂くように現れた女。自転車のタイヤの焼ける匂いが広がる。
「私は宇部多恵。抹殺部隊からの注文を受けて参りました」
宇部は背負った配達バッグからスシを取り出し、標的の抜け闇寿司に向かって射出する。突然の襲撃に抜け闇寿司は応戦しようとするも、弾丸のごとき焼き鳥を避けるので精一杯だ。
この女、自身の料理の腕は今一つなものの、スシを複数回すことに関しては天才的。配達バッグの中には自らテイクアウトしたスシがわんさか入っている。デリバリーで多少スシが冷め劣化しようとも物量で押し切れる。まともに戦うこともできず、哀れな犠牲者は追い詰められもはや人生の終着点に到着寸前だ。
「それでは、頂きます」
襲撃者は家系醤油ラーメンを抜け闇寿司の眉間目指し放つ。だが当たる寸前、どこからか飛んできたイカにラーメンが弾かれた。暗闇に宇部は呼びかける。
「邪魔しないで頂きたい。私と戦うつもりですか?」
「このままやられるのを放っておくわけにもいかんのでな」
その男は割烹着を着て、何やら屋台を引いていた。
「出前流寿司無礼道使いか。確かに出前はどこでもスシを食うことができる優れたものだが‥‥やはり握りたてのスシにはかなわん」
屋台の布を取る男。その下にはシャリとネタが完備されていた。
「その屋台、聞いたことがあります。あなたはケータリングの寿司職人、K!」
Kはスシをギュッと握った。
「という感じですが、どうですか編集者さん」
「うーん、セリフが出オチじゃないですかね」
「ですよねー」
「あとケータリングはCateringなのでKじゃなくてCですよ」
「あ‥‥!!!」
この作品の作者は pope3pape does not match any existing user nameさんでした!
予想結果: R-00X, pope3pape×3, Azalea-000×2, Ruka_Naruse
言葉を以ってしか物を語れない生き物がいるでしょう
可笑しいの、と笑うような声。
燃えては消えゆく炎の揺らめきの高らかな歌もさ、言葉で切り分けてしか理解できないんだって?
返答を求めるような話し方ではない。独り言の延長線上にたまたまおれが聞き手として存在しただけであるような。
そんななのにさ、たとえば映像で記録を残したりして、架空の記録を作ったりもして、それを言葉のない芸術と思っているらしいけれど。畢竟、その記録に残されたものについて何を思ったのかを伝えるための物は言葉しか持ち合わせがないんでしょう
言葉で伝達されるものはまた、言葉を通して元から離れて変ずるよね。たとえば、誰かが僕の眼を『夕焼け色の瞳』と呼んだとしてさ。それでも、それを聞いた人の浮かべる夕焼け色と、誰かがみた私の眼の色はきっと同じものじゃない
考えの奔流がそのまま出力されている。進んで、止まって、戻って、思考の巡る過程をそのまま見せられて。そして、見つける。おそらくは此方に言いたかったことを。
だけど私、嫌いじゃないんだ。君たちが生きるために紡いでる言葉のこと。始まりにあるのはさ、語っている対象に自分のかくあるべしという願望を押し付けるみたいな独善的な行為で、それでもとっても好ましく思う。呪いみたいな、それよりもっと美しいような
もうすっかり暗くなってきた浜辺、初めて目が合った気がした。
いま私がこうやって、君たちの真似っこをして言葉で話しかける気になったのはそんなわけ
このとき風が一陣吹き去って、炎は消えてしまったものだから、おれが聞いたのはこれっきりだ。
ねえ、次も待ってるよ
この作品の作者は Azalea-000さんでした!
予想結果: Azalea-000, stengan774, NorthPole×3, nekokuro
ここには私以外誰も存在しない。
透き通った空と、それを映す地平まで伸び切った水面。底の擦れた私のローファーでも、この水には浸からない。私の歩みと、時折横切る優しい風だけが、この広大な青のキャンバスを揺らすことが出来る。私が歩く度に、太陽の光が乱反射を繰り返す。
何故ここに居るのか、どうやってここに来たのか。私自身にもわからない。理解していることといえば、机の上の眠りから醒めたらここに居たこと。そして、誰とも関わらなくて良い世界を望んだこと。
私は、人が嫌いだったから。いじめられていたとか、友達に裏切られたとか、そんな事は一つも無かった。"何故"を問われると答えようが無い。でも私くらいの年の人はみんな訳もなくそう思うらしい。
私のこの制服は、何かに所属していることを示すシンボルな訳だけど、誰もいないここではその役割は果たせない。だからこそ、この無駄に心が踊る。誰かに私を示す必要が無い、誰も私を求めない。そんな世界に私は来たのだから。
地平が見える、何もない。
歩くことに、意味はない。
帰る道は、見つからない。
欲しがっていた世界が、目の前に広がっている。不思議と恐怖は無かった。ただ意味もなく進みたいという衝動、それだけが私の中に残った。人が歩むのに理由など必要ない。このどこまでも美しく広がる理想の青空を、無為に歩き続けていたい。
風が背中を押してくる。
歩み始める。
水面が揺れる。
光が踊る。
何一つ意味のない旅路だけれども、何一つ残らない人生だけれども。構わない。私にとっては、これが幸せな生き方なのだから。
それじゃあ、行ってみようかな。
この作品の作者は stengan774さんでした!
予想結果: Enho_Osho, usubaorigeki×4, Nununu
埃っぽい部屋が苦手だ。幼い頃はそうではなかったはずなのだが。
記憶を遡れば実家の離れの、もう使われていない部屋を遊び場にしていた時期がある。私にとって叔父にあたる人が暮らしていたというその埃っぽい場所には、家を出る際に置いていったのだろう家具と雑貨がそのままにしてあって、「あまり入るな」と言う親の目を盗んでは潜り込んでいた。薄暗い部屋に舞う粒子が、雨戸の隙間から差し込む光の筋にキラキラと輝く、その光景が好きだったことを今も覚えている。
ある日、咳と目の痒みが止まらなくなった。その頃まだ『ハウスダストアレルギー』という言葉は一般的でなかったから、原因不明の喉と眼球の異物感に私はひどく苦しめられた。痛くなるほど咳き込んで、洗面台の前で何度目かの塩辛い泡立った唾を吐いた時、その中に黒い物があることに気付いた。
唾液にまみれたそれは、毛の塊だった。よく風呂の排水溝に絡まっているようなそれを伸ばしてみれば、その頃学校で使っていた30cmの竹尺よりも長かっただろうか。母も妹もずっと短髪な、私の家族のものではあり得ない長さだった。
顔を上げて、擦り過ぎで充血した目をよく見る。涙に濡れたまつ毛に、何本か長さの違うものがあった。指でつまみ、それを引っ張る。
ずる、ずるり、と、下瞼から引き抜かれたのもやはり、長い黒髪だった。
埃は紙と服の糸くず、そして人間から落ちた皮膚片や毛髪からできるものらしい。叔父の若いころについて祖父母と父はあまり語ろうとしないが、時たま零す愚痴から女性絡みのトラブルがあったらしいことは何となく勘付いていた。
だから埃っぽい部屋は苦手だ。人が捨ててきたあれこれが、そこに溜まっているから。
この作品の作者は NorthPole さんでした!
予想結果: stengan774, NorthPole×3, santou, Nununu×2
その夢はどこかに捨てていくといい。ただ足枷になるだけだから。
今更思い出した戯言が僕を地面に縫い付けている。昨日を恥じるような道を歩んだって意味が無いとずっと信じ続けているのに。一体何度追い越されたろう。何度這いつくばっただろう。けれどそれでも這い上がるしかない。這い上がるべきだと思っていた。ずっとそうしてやってきたんだ。
気づいてはいた。少し慣れてきた頃には自分は立ち止まっていると分かるくらいにはなっていた。けれどそれでも目を逸らしたのは、認めたら終わりだと直感したからに他ならない。夢を追うには夢の追い方を知らなければならない。常識も作法も、禁忌すらも知らぬまま手探りでやっていけるほどこの場所は人に優しくなかった。けれど、今僕が持つこのこだわりを一度粉々にしたならば、それは永遠に失われていたと僕は思う。それを許容できなかった。この形の美しさこそを僕は求めていたからだ。
一体何をしているんだろう。求めた物があるのなら手を伸ばせば良かったのに。夢があるなら見るべきは夢で、誇りや矜持ではなかったのに。誇りや矜持が欲しければ夢など見るべきではなかったのに。そんな事はもう知っているのに僕の足は止まったままだ。
あの日の夢に唾吐く声が頭にこびりついている。尤もらしいアドバイスが僕をここに縛り付ける。それは単なる諦めだと吐き捨てたあの日を僕は未だに諦めきれない。
今宵もフードファイトの幕が開く。3人のデブの隣に立つのはイケてるフェイスの細マッチョ。歪んだ体型を戻していた僕は2大会ぶりの出場となる。結局今日も他の半分ほどのホットドッグを平らげてギブアップして、会場のトイレで吐き戻した。
この作品の作者は Ruka_Naruseさんでした!
予想結果: Enho_Osho, Azalea-000, Ruka_Naruse×4, santou
「離せよ!俺はもう正常なんだ、診断書だって見せただろう!」
「割印が正規のものと一致しませんでした」
「そ、そんな」
「そんな筈はない、ですか?あんな高値で買ったのに、と」
「まさか、お前ら……」
「おや、ピッタリと一致しますね。我々が"うっかり"紛失した印鑑と」
「……地獄に落ちろ!」
血走った眼の青年は警帽を深々と被った男に連れ出された、お望み通り保護区の外へ。ただし、行先は収容区だが。それと入れ替わるようにして入ってきたのは長身の女、軍服の胸元には私の制服と同じ印が掲げられている。
「久々に活きのいい方が来たようだ」
「全く愚かしい話です、私達が与えた自由をみすみす手放すなんて」
ここは異常者保護区、即座の収容を必要としない異常者を隔離保護する区域であり、私はその関門を管理するのが仕事だ。
「しかし君もよく考えたね、書類偽造を炙り出すために偽印を収容区に出回らせるとは」
「必要な事をしたまでです」
「しかも印鑑の差異はごく僅か、君の精密な観察眼が無ければ見分けが付かないときた」
「ここで働けば自然と身に付く技能です」
「そうかそうか、なら……君はさっき青年を連れ出した警備員が、いつもと別人だった事にも気付いた筈だ」
「……」
「なぜ通したんだい?」
「単にいつもの方が非番だったのかと」
「彼は明らかに髪や髭をいつもの警備員に似せていたけど……まあ、そういう事にしておこうか。それで、どう思う?」
「……どういう意味ですか」
「彼が騙し通して逃げ遂せるかどうか、って話さ」
「逃げ遂せたら、どうするんですか?」
「そうだね……」
女は思わせぶりに黙してから、一枚の写真を差し出した。
「次は私の妹を連れ出して欲しい、かな」
この作品の作者は tateitoさんでした!
予想結果: kskhorn×3, Jiraku_Mogana, stengan774, santou×2
「ようこそ我が家へ、いやいいんだ君が赤点を取ったら生徒会長の私も困るんだから。まあ上がってくれ。そうそう今、両親がいないんだ。君、襲わないでくれよ?無理?じゃあ私が襲おうか?……無論冗談だよ。ここが私の部屋だ。意外と散らかってる?女の部屋だってこんなものさ。鞄はそこにおいて……その箱、気になる?見ていいよ」
箱の中にはシャネルの口紅など高価そうな化粧品が沢山入っていた。会長も化粧ぐらいするだろう。しかし多すぎるし、全てが未使用なのは?
「これ全部、万引きしたものなんだ。別にお金には困ってなくて、つい、やってしまうというか、スリルともまた違うんだよ。生徒会長なんかやっているとね、その反動なのかな?……この箱はもっと面白いかもね」
財布や現金、カード、免許証が詰め込まれた箱。
「戦利品という気分かな?それぞれ思い出があって、捨てられない……ああ、返すなんて考えもしなかった。現金は使ってみるのもいいものなんだけどね?燃やしてしまったりさ?でもこうして見返す楽しみがね?……病院?君は優しいな、まず警察だろ。うん、医学的には窃盗症とかいうらしいね。私も病気の自覚はあるけど、病院の看板を見ると目を背けてしまう……たぶん、この盗癖が、愛しいんだ」
次の箱には幾つものスマホが。
「このiPhoneが傑作でね、隣町の不良から盗ったんだが、友達に盗られたと勘違いして頭をかち割ったんだって」
会長は更に箱を出した。
「開けてみて」
……その中には、僕が無くした学校の上履きが入っていた。
上履きが隠された日、会長は夜になるまで一緒に探してくれた……
僕は彼女の顔を見た。
彼女も僕の顔を見ていた。
彼女は突然、勢いよく失禁した。
この作品の作者は Nekokuroさんでした!
予想結果: Enho_Osho, pope3pape, Azalea-000, NorthPole, nekokuro×3
研究室長のマリーは、研究ノートを暗号化するのが趣味で、誰も読めない状態で記録をしていた。
論文にして投稿すると、復号方法を記してデータを公開する。そういうことを繰り返していた。
彼女の業績は飛び抜けて高かったし、論文の再現性もしっかりしていたので、まぁいわゆる「天才科学者の奇行のひとつ」として扱われていた。
そんな彼女が、新しい論文の執筆最中に死亡した。
死因は心臓発作で、事件性はなく、自然死だったようだ。
密かに憧れていた彼女が死んで、私は想像以上にショックを受けた。
==
暫くして、彼女の遺品であるノートが研究所に戻ってきた。
その所有権は複雑怪奇なサーキットを通り抜けた後に、彼女の部下だった私の元に辿り着いた。
ノートを開くとマリーの几帳面な筆跡で、文字がびっしりと書き込まれていた。
暗号だらけで一読しただけではとても読み解けなかったが、不思議と、この文字列は私に読まれることを望んでいるように感じた。
それから暫くの間、私は妙に熱中して、彼女のノートの解読に取り組んだ。
過去の暗号の傾向などから推測を作り、解していく。
なんとか読めるようになった部分には、研究のこと以外にも色々なことが書かれていた。
どうやらこのノートは、日記も兼ねているようだった。
最近読んだ本、観た映画、食べたもの。
行きたいところ、やりたいこと。
私のこと。
私のことが好きだということ。
私のことが
==
半分ほど解読したそのノートに、私は火をつけて灰にして海に撒いた。
垣間見てしまった彼女の想いが、これ以上読めば呪いになってしまうと思ったから。
それはきっと、マリーも望んでいないだろう。
秘密は秘密のままで
思い出は思い出のままで
憧れはどうか、憧れのままで。
この作品の作者は santouさんでした!
予想結果: R-00X, pope3pape, Ruka_Naruse, tateito×2, santou, GermanesOno
砂塵舞う荒野において、戦いは遂に終わる。魔術師が放った奇跡は竜の動きを僅かに止めるのみであった。しかし、戦士にとってはそれで十分だ — 隙をついて大剣を竜の頭蓋に向かって振り下ろす! 鈍い音がした後に竜は白目を剥いてその翼を地に下ろした。悪しき竜は2人の勇士の前に倒れたのだ! 曇天の隙間から光が差し込み、天が勝利を祝福しているようだった。戦士にとって、己が故郷を焼き尽くした宿敵を打ち滅ぼしたのはこれ以上ないほどに喜ばしいことであった。
猛し者たちが凱旋すると、街は大きな賑わいに包まれる。民衆は英雄を一眼見ようと大通りに集まり、歓声は反響する。戦士は竜の首を掲げ、高らかに宣言する。邪竜は滅んだのだと! 人々は歓喜し、互いに抱き合った。戦士にとって、民草の笑顔はその疲れを癒すのに十分なものであった。
夜には領主が2人の健闘を讃え、大きな宴を開いた。飲んで食って、歌えや踊れ! 武器屋のオヤジ、酒場のネエちゃん、領主サマまで皆交えてバカみたいに騒いだ。戦士にとって、人々との語らいは復讐という目的をなくしたこれからをどう生きるのかを決意させるものであった。
宴の灯も次第に小さくなり、街にも静かさが戻る頃。魔術師は泥酔した戦士に肩を貸し、なんとか重い体を宿屋のベッドに寝転がす。昼間の勇姿はどこへやら、戦士は鼾を立てて腹を掻いている。魔術師にとって、月光が照らす戦士の微睡む顔だけが喜びであり、癒しであり、生きる意味であった。
この作品の作者は GermanesOnoさんでした!
予想結果: R-00X, stengan774×2, GermanesOno×4
稲妻西方に瞬くは白虎の爪牙、物干し竿は白雲颶風の縞模様を経て喉元を通過し、衣服は雨垂れを遡上して悪天候に発散す。
行き場無き生気ゆえに暫し氾濫し、降るに遅れて流体が排水管の口蓋をチョロチョロと濯げば、そこに数多の衣服の、化成繊維のほつれ屑あれど、詰まらざるを奇妙に覚ゆ。
曰く、大気圏は陸圏海圏より広く、孟加拉腔なる場所には窒素酸素比を異にする虎が棲む。咀嚼筋の一収縮は、窒素分子の三重に解離せしめ、塵劫モルの亜硝酸、硝酸、流涎は滝の如く、非常階段を叩けり。
帰りて、嚥下されし衣服を探せど、既に空気獣の組織の糧となりて、見出されず、失せて減る物ならずとも、うら悲し。潤さるは風草、俵麦、烏麦。鶸の子らの飛び戻りて、エアロペプシン、エアロトリプシン、その他の昇華酵素に破れ崩れた衣服の、笹薮に被さるを見て、我に教へまほし。虎の餌食、取り戻せじとは思われず。物干し竿の洗濯物、烈風にさぞ心凄く覚えぬべし。
この作品の作者は Nununuさんでした!
予想結果: stengan774×3, NorthPole, tateito, santou, GermanesOno
最後に見た夢は何だっただろうか。大きな白い画用紙キャンバスを前に、私は腕組み考える。最後に見た夢、というのはパトロンの今回の注文オーダーである。どうやら偉大な芸術家である私の脳が生み出す幻想を一目見たいようだ。自慢ではないが、私はとても寝付きが良く、それ故、夜にひとたび目をつむれば、次の瞬間には暖かな朝日が差しており、夢など見ていようはずがないのである。しかし、彼女の期待を裏切ることはできない。
遥か彼方まで記憶を辿ればいつか夢を見たかもしれない、と、私は記憶の底へ潜ることにした。深みへの探求と穏やかな午後の日差しのために、私の意識ははうつらうつらと遠のいていった。刹那、私は脳内の異界を垣間見た。我が作品のごとき芸術的な森。私は即座に跳ね起き、愛用のクレヨンを握った。刺激的な色彩、歪んだ木々、うねり渦巻く大空、サイン代わりの己の姿、それらを巧みに、力強く、キャンバスに刻みつけていく。ひと通り画面を埋めた後も厚塗りに厚塗りを重ね、ついに満足な作品を描き上げた。
「わあ、アキラくん、よく描けたね~!」
私の渾身の一作に、ゆうこ先生パトロンも大満足のようだ。きっと今作は周りの絵描きたちの作品とは一線を画す、稀代の名作と称されることだろう。
目利き部門
総合優勝
Kiygr
(37pt.)
総合2位
SuamaX
(22pt.)
総合3位
Fireflyer
(18pt.)
Aグループ優勝
Kiygr
(14pt.)
Aグループ2位
SuamaX
(8pt.)
Bグループ優勝
Kiygr
(12pt.)
Bグループ2位
SuamaX
(11pt.)
Cグループ優勝
Kiygr
(11pt.)
Cグループ2位
NorthPole
(5pt.)
文体当てられ部門
総合優勝
souyamisaki014
(7pt.)
総合2位
2MeterScale
(6pt.)
総合3位
teruteru_5,
Jiraku_Mogana
(5pt.)
Aグループ1位
meshiochislash does not match any existing user name
(4pt.)
Aグループ2位
kihaku,
SuamaX,
seda87ne,
EianSakashiba,
ShinoguN,
Imerimo, R_IIV does not match any existing user name,
hallwayman,
Dr_Knotty
(3pt.)
Bグループ1位
souyamisaki014
(7pt.)
Bグループ2位
2MeterScale
(6pt.)
Cグループ1位
Jiraku_Mogana
(5pt.)
Cグループ2位
Ruka_Naruse,
GermanesOno
(4pt.)
【700字文体シャッフル企画 特別企画開催に向けたアンケート調査】
文体企画が500字から700字へ一新されて凡そ9か月、700字文体シャッフル企画はついに第10回を迎えました。回を重ねるにつれ文体のグループ分けなどのルール整備が進み、更には2022年末に初の特別企画『Mr.SuamaXからの挑戦状!』が開催されました。有難い事に特別企画は無事成功を収め、それにより特殊レギュレーション企画への需要が高まって来ました。
つきましては記念すべき第10回が開催されたこの機会に第二回特別企画を計画したいと考え、実行に移すべくこちらのアンケートを取らせていただきました。現在構想している企画は700を超える文字数を上限とした企画であり、このアンケートでは具体的にどの程度の文字数までなら意欲的に参加できるかの意識調査となっています。回答は5分ほどで行えます。
回答は4/30まで受け付けます。また、頂いた情報は700字文体シャッフル企画運営サーバーでのみ利用・共有され、結果が公開されることはありません。
URLはこちら
https://forms.gle/eAXJb3X96nXNWB2z8文責 -
Ruka_Naruse
痛ツイート人気投票
総合一位
こっちは頭の中にすら名作はねえよ そんな奴に今からお前は負ける 準備はいいか?
二位
えへへ!!!! みんないいねありがとう!!!! だいすき!!!!(ぎゅー
三位 (同列
昼なので言おうか迷ったけど言いますね、気弱な男の娘と1時間学校の校舎でセ。クスする夢でした。そのあともれなく知人全員にバレてました。
ブリキノダンス噛まずに歌えるから、俺
ネットミームが嫌いなわけじゃなくて、対して面白くもない内輪ネタを擦りつづけて一生を生きていくことに怯えているだけです
? 俺に勝てないのになんでみんな短編tale書いてるんですか?
最痛
えへへ!!!! みんないいねありがとう!!!! だいすき!!!!(ぎゅー
投票者のコメント抜粋
最近はあんまり絡みがないし、言うタイミングが無いのでここで言いますが、一方的に飯落ちのことを考えることが時々あります。ふっと気が向いた時に「あぁ、飯落ちのこと考えたいな」と考えるだけです。それだけ。
なるべく元気に長生きできるよう祈っています。
ありがとう。僕も雑に祈ってますよ。
ボイス出せ蛮族
うるせえ。
飯落の痛ツイはブクマしてあって時々見返すんだけど、その度になんだか安心できるよ
痛ツイ、サイコー!あと痛ツイとは関係ないけどf*ckのスペル間違いはマジで面白かった
ありがとう。スペルミスは今後ないようにしますが、痛ツイートは続けていこうと思います。
【殿堂入り】
でもKanKanさんって日本支部6位のvote記事持ちでヒット作もかなり多いし、コンテストの参加回数も多いのに優勝経験ないの不思議ですよね
#でもKan構文の殿堂入りに賛成します
それは、そう。
